小売店の秘策「ロスリーダー」とは?
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。物を売る商売はたくさんありますが、どうやったら売れるのか、売上アップする方法は無いのか、と頭を悩ませている店長や経営者の人は意外と多いもの。そんな売上アップにつながるヒントとなるのが「ロスリーダー」という考え方です。そこで本日は、小売店や販売業の人必見の、売上アップの秘策「ロスリーダー」について詳しく解説したいと思います。
ロスリーダーとは?
ロスリーダーとは、マーケティング用語で、集客や全体の売上アップのために、採算度外視で極めて安く価格設定をした商品のことです。小売店などで価格政策の一つとして使われる手法で、「目玉商品」や「客寄せ」として扱われることが多いです。ロスリーダーは一般的に、原価を割ることが多く、その商品自体は赤字になっても、全体が売上アップすればそれ以上の価値が生み出せるという考え方のもと実施します。
ロスリーダーが売上アップにつながる理由
なぜロスリーダーによって、売上アップが期待できるのでしょうか。ロスリーダーを取り入れる際の考え方の基軸には「損失を上回る売上が期待できること」が挙げられます。ロスリーダーそのものの商品は赤字であっても、それ以上に他のものが売れるようになれば、店全体では売上アップすることになります。ロスリーダーが売上アップにつながる理由として、大きく3つあります。
・客寄せに効果がある
ロスリーダーの大きな効果は「客寄せ」です。スーパーの卵セールを思い浮かべて下さい。さすがに原価を割って価格設定をすることは少ないですが、他のスーパーよりも安く価格設定をしてチラシを打ち出すスーパーを多く見かけますよね。こうした格安を売り出すと、絶対的な客数は増えることが多いです。そして、お客様はスーパーでは一日の買い物をすることが多いので、卵目当てで買い物に行っても、他のものを買います。それによって、卵というロスリーダーの商品自体ではほとんど利益が出なくても、客数や店全体での売上では普段よりもアップするという考えです。価格を安くすることは、客寄せとして機能するわけです。
・購買意欲をあおることができる
一部の商品を、破格の値段に設定することによって、購買意欲をあおる効果もあります。たとえば、スーパーの卵セールなら、「卵を安く手に入れたから、メインディッシュは贅沢しよう」とか「卵がこんなに安いんだから、他の商品もお買い得に違いない」といった思考が働き、お客様は他の商品も手に取りやすくなります。お客様を飽きさせないメリハリをつけることが、購買意欲をあおるコツといえます。利益の低い商品と高い商品を混在させる粗利ミックスという考え方を取り入れることで、価格操作一つで多彩な展開をすることができます。
・イベント性を高めることができる
客寄せに近い考え方ですが、一部の商品をロスリーダーとして設定することによって、店舗のイベント性を高めることが可能です。イベント性を高めることで、広告が打ち出しやすい・リピーターを確保しやすい・普段は買わないものまで買ってもらいやすい、などの効果を得られることができます。スーパーの卵で言えば、値段もさることながら「先着200名様」のような限定感を出すことで、お客様が早く買いに来たり、家族を連れてきたりと、いつもとは違う特別感を演出できます。毎日安いような店よりも、特別な日だけセールをやるような店の方が、トータルで見ると集客も売上も上げやすくなります。
ロスリーダーの具体例
ロスリーダーの例として、スーパーの卵を挙げましたが、他にもたくさんの例があります。料金設定を操作できる小売店であれば、様々な手法を取ることができます。
・家電量販店の目玉商品
ロスリーダーの代表例とされるのが「目玉商品」です。赤字覚悟の出血大サービス!ということで、家電量販店などで見かけることが多いですね。型落ちした家電を破格の値段で売ったり、おひとり様一台限りで原価を割る値段で売ったり。家電量販店は、一部の商品をロスリーダーとしても、そもそも単価が高いので、他の商品も同時に買ってもらえればすぐに黒字に転換しやすいですね。
・回転ずしの期間限定メニュー
原価率の安い商品と高い商品をメニューの中で交える「粗利ミックス」という考え方を運用しているのが、100円の回転ずしです。回転ずしでは、期間限定メニューを原価ギリギリの破格の値段に設定していることが多く、客寄せとして機能しています。回転ずしに来たらどうしても他のもの(原価の低い、玉子やかっぱ巻きなど)も食べてしまいますからね、最終的には利益を取れるという計算です。
・スーパーの試食
ロスリーダーの要素として「それだけでは赤字になるが、客寄せになる」というのが挙げられますが、少し見方を変えれば、スーパーなどの試食もロスリーダーと言えるのではないでしょうか。試食をしてもらうためには、その商品を開封して調理する必要がありますから、その点だけを見れば損失です。しかし、食べて美味しい!となれば、いつも以上に買ってもらえます。すると、試食分の損失をカバーできるくらいの利益が生じるという訳です。
・書店のマンガの試し読み
スーパーの試食と同様なのが、書店の試し読みです。書店には法律で、基本的に「値下げ」ができないと決まっているので、ロスリーダーとは無縁のように思えますが、1巻をそのまま用いた試し読みが該当します。試し読みを置くことで、その1巻は売り物にならなくなるので損失といえますが、試し読みをして面白い!と思ったお客様がその漫画を買うことで、黒字化を狙うというものですね。
大事なのは中長期的な目線
このように見てくると、ロスリーダーの必要性が分かったかと思います。これは私の実際の体験ですが、過去に小売店で働いていた時、このロスリーダーを実施して客寄せをしたい!と本部に要求したことがあります。しかし本部は「損失が出るからダメ」として許可が下りませんでした。本部には頭の固い、いわゆる昔ながらの人が多かったものですから、目先の損失だけにとらわれて拒否したんでしょう。しかし、このロスリーダーという考え方で重要なのは、目先の損失ではなく、中長期的な目線です。そもそも、その一瞬の損失をバックできるくらいの利益を上げるのが目的ですから、見方によっては「損失」ではなく「費用」なんですよね。
この費用、更に言い換えれば、投資、をすることによって、中長期的に得られる利益と言うのは意外にも多いように思います。ロスリーダーによって得られる中長期的な利益は以下の通りです。
・客寄せを定期的に行うことで、お客様のルーチンに組み込んでもらえる
イベント性のある客寄せを定期的に行えば、「水曜日はいつも安いから毎回そこに行こう!」などルーチン化してくれるお客様が増えます。そうなれば、固定客として確保出来たも当然で、長い目で見て利益を上げることができます。
・他店舗との差別化を図れ、良い印象をイメージづけることができる
ロスリーダーは、店舗にとっての「個性」とも表現できます。他店との差別化を図ることができるので、店舗に良いイメージを持ってくれる人も増えるでしょう。
・メリハリのある販売は、リピーターやファンの獲得につながる
価格操作によるメリハリを意識することで、お客様の中にはリピーターになったりファンになったりする人も出てきます。チラシを打ち出せば、新規の客層も取り込むことができ、長い目で見て固定客も浮遊客も取り込むことができます
以上、小売店に欠かせない考え方の一つである「ロスリーダー」について紹介しました。小売店や販売業をやっている方はぜひ参考にしてみてくださいね。当ブログでは、他にもビジネスに関する記事やお金にまつわる記事を多くアップしています。ぜひ合わせてご覧になってください。