話題のトンチン保険について紹介します。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。平均寿命が伸びる中、年金制度にも信頼がおけなくなり、老後の備えはより一層必要と考えられる昨今。老後に備えた資産運用や保険の活用がより注目されています。中でも意外と知られていないのが「トンチン保険」の存在です。そこで今回は、トンチン保険の仕組みやメリットデメリットについて詳しく紹介します。
トンチン保険とは?
トンチン保険(トンチン年金)とは、死亡保障や解約返戻金を抑えることで、生きている人に保険金が分配される保険のことです。その名前の由来が気になる人もいると思いますが、トンチンとは人名で、イタリアの銀行家ロレンツォ・トンティが考案した保険制度をもとに作られた保険だからその名が付いたそうです。日本人からすれば、トンチンカンをイメージしてしまうせいか、どこか間の抜けた響きではありますが、保険商品としては優れた機能を持っています。
トンチン保険は老後の備えに優秀?
トンチン保険は、簡潔に言うと「長生きするほどお得になる保険」です。損益分岐点が、平均寿命より少し高めに設定されており、平均寿命より早く死んでしまうとあまりもらえず、平均寿命よりももっと生きれば、支払った保険料よりも多くの保険金を得続けることができるのが特徴です。つまり、自分の老後に備える年金のような役割です。この点で、生命保険とは一線を画します。生命保険は、自分の死亡時の周りの遺族のための保険ですが、トンチン保険は自分が長く生きた場合に備えた保険ということになります。公的年金では不十分と言われている昨今、トンチン保険はその公的年金の上乗せや長生きのリスクに備えた保険として、注目を浴びているのです。
トンチン保険が注目を浴びている背景には、日本人の平均寿命の伸びがあります。平成28年の厚生労働省のデータによると、男性の平均寿命は80.98歳、女性では87.14歳となっています。イメージとして、90歳まで生きる男性は4人に1人、女性は2人に1人といわれています。人生100年時代と呼ばれるのは喜ばしいことなのかもしれませんが、一方で、老後資金の問題がのしかかってくるのも事実です。生活費はもちろんのこと、病院代や介護費用など、老後にかかってくるお金はたくさんあります。これらは公的年金だけでカバーするのは限界があり、資産運用や今回紹介しているトンチン保険、また個人年金保険などで確保しておく必要があるのです。
トンチン保険のメリット
トンチン保険のメリットとして、大きく3つ挙げられます。
・長生きのリスクに備える保険として優秀
すでに説明している通りですが、トンチン保険は長生きに備える保険の一つです。死後に備える生命保険とは違い、自分の老後に備える保険としては数少ない選択肢でもあります。長生きをすればするほど得になるのも魅力ですね。
・年齢が高くても加入できる
普通の生命保険などは、加入に年齢制限があることが多いです。その点、トンチン保険は、一般的に50歳から加入することができ、老後を前にした資産形成の一つの選択肢として考えやすいのが利点です。50歳以降で加入して、70歳以降で年金を受け取る形式の商品が多いです。
・保険料控除の恩恵を受けられる場合も
トンチン保険は、条件を満たしていれば、個人年金保険料控除の対象となります。年末調整の時の申告、または確定申告をすることによって、最大40,000円の控除を受けることができるので、節税効果もあります。
トンチン保険のデメリット
老後に備える保険としてメリットも多い一方で、トンチン保険にはデメリットもあります。
・保険料が高い傾向にある
トンチン保険は、一般に他の保険商品と比べると、保険料が高い傾向にあります。支払い始める時期が50歳以降と遅いこと、トンチン保険を扱う保険会社がまだ少ないこと、などから、保険料が割高に設定されています。退職金などで一括支払いを選択するケースもありますが、高い保険料を払っても寿命次第で全額が戻ってくるわけではないので、加入の際には注意しましょう。
・年金受け取り前の死亡・解約は損をする
年金受け取り開始前に死亡してしまったケースや、途中で解約を申し入れたケースなどでは、支払保険料の7割程度しか戻ってきません。掛け捨てとまではいかないものの、平均寿命以上に生きていない限りは損をする設計なので、加入前によく検討するようにしましょう。
トンチン保険と個人年金保険との違い
トンチン保険と同様に、老後の資金作りとして注目されているのが「個人年金保険」です。個人年金保険でも、保険料控除や老後の年金形式での受け取りなどは同様です。トンチン保険と個人年金保険が違う点は、以下の通りです。
個人年金保険では死亡・解約は払込保険料に近い額が支払われる
トンチン保険が7割なのに対して、個人年金保険では死亡の場合で払込保険料相当額、解約の場合は時期にもよりますが、加入してすぐでなければ払込保険料に近い額が戻ってきます。
個人年金保険は若い世代から加入できる
トンチン保険は、一般的に50歳以降でなければ加入できませんが、個人年金保険はもっと若い世代から加入できます。20代の内から老後に備えておく、というニーズも満たしています。逆に、50歳を過ぎてからの個人年金保険の加入は厳しいことが多いです。
個人年金保険では受け取り開始年齢を60歳から指定できる
トンチン保険は、受け取り開始年齢が70歳からというのが一般的なので、それよりも早く受け取り開始を選べます。個人年金保険は、途中で解約しない限り、元本を割らない設計になっています。
トンチン保険の加入が向いている人とは
ここまでトンチン保険の説明をしてきましたが、およその仕組みは理解できましたでしょうか。最後に、トンチン保険の加入が向いている人を紹介します。
健康に自信があり長生きする気がする人
誰も自分がいつ死ぬか、いつまで生きるかなんてことは分かりません。しかし、不摂生をしているとか健康診断でよく引っ掛かるとかで、健康に不安がある場合にはトンチン保険で損をするリスクも高まります。健康に自信があり、長生きをする可能性がありそうな場合には、トンチン保険に加入しておいて備えておくというのも良いでしょう。
老後に親族に迷惑をかけたくない人
老後は病気のリスクが上がり、入院や通院、また介護などでお金がかかってきます。そんなリスクに対して備えが無ければ、子供や兄弟などに迷惑をかけてしまう可能性があります。そうならないためにも、自分の老後のお金は自分で備えておくのが良いでしょう。
公的年金だけでは心配な人
公的年金制度はまもなく破綻するとも言われており、政府としても老後のお金を準備しておくように促しています。老後への貯金がある場合には良いですが、自分の老後のためのお金をしっかりと確保しておきたいのであれば、トンチン保険の加入を検討しても良いでしょう。
以上、人生100年時代に備えるトンチン保険について詳しく解説しました。聞き慣れない保険ではありますが、平均寿命が伸び、公的年金の雲行きも怪しくなっている近年の日本では、活用できそうな保険ですよね。当ブログでは、他にも保険に関することやお金にまつわる記事を多くアップしています。ぜひ合わせてご覧になっていってくださいね!
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