学生が仮想通貨で稼いだ時の税金についてです。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。ビットコインやリップルなど、2017年の価格高騰とともに世間を賑わしている仮想通貨。かくいう私も一部のアルトコインを保有していますが、中には学生でありながら仮想通貨を保有しているという人もいるのではないでしょうか。学生の内からこうした仕組みや投資に興味を持つのは素晴らしいことだと思います。しかし、仮想通貨で収益を得た場合には「税金」がかかるのをご存知ですか。税金のことを知らないで仮想通貨を売買していると、後で面倒なことになりかねません。そこで今回は、FPである私がなるべく分かりやすく、学生が仮想通貨で稼いだ場合の税金について紹介したいと思います。
学生でも仮想通貨に税金はかかる?
話題になっている仮想通貨ですが、大人に限らず学生でも購入することができます。私も大学生の内に散財しないで仮想通貨を買っていたら、今ごろ・・・なんて思ったりするわけですが、知名度も上がってきた最近では、大学生の内から仮想通貨を保有しているという人も多いようです。中には、高校生の内から仮想通貨に目を付けて購入しているという話も聞きます。なお、未成年の口座開設を受け付けていない仮想通貨取引所もあるので注意しましょう。仮に未成年で口座開設ができる取引所であっても、親の同意書が必須であることが多いので、学生の内から仮想通貨を始めたいのであれば親の説得がまずは必要になりそうですね。
実際、学生のおこづかいでも仮想通貨は買うことができますし、売買するのはゲーム感覚で楽しめるかもしれません。ただし、注意したいことがあります。それが「税金」です。わが国には、「所得税」と呼ばれる税金があります。所得税とは、1年間に稼いだ所得に対して課される税金で、日本国内の所得のある全ての人に課されます。一定の所得を超えると、高校生であろうと大学生であろうと所得税を支払わなければならないのです。仮想通貨で得た利益は、現在「雑所得」に分類されていますので、所得とみなされ、多く稼いだ場合には当然ながら所得税を納める必要が生じます。
厄介なのは、仮想通貨で利益を得た場合には「自分で申告しなければならない」点です。アルバイトのように給料から天引きで税金が引かれるわけではないので、1年分の稼ぎをまとめて事後報告として「確定申告」をしなくてはなりません。これを忘れてしまうと面倒なことになりますので、学生であっても仮想通貨で稼ぎがある場合には税金と確定申告のことについてよく理解しておきましょう。
仮想通貨に税金が発生するタイミング
仮想通貨に税金が発生するタイミングは、所得を得た時です。仮想通貨で所得を得るタイミングは、大きく分けて以下の4つになります。
・仮想通貨を売却した時
仮想通貨を安く買って高く売った場合、その利差益に対して税金が課されます。100円で買って200円売ったら100円の利益ですから、そこに対して所得税が課されるのは当然ですね。もし、買った時よりも安く売ってしまった場合は税金はかかりませんが、1年トータルの取引に対して計算するので、トータルで購入額よりも売却額の方が上回っていれば課税の対象となります。
・商品を購入した時
仮想通貨でなんらかの商品を購入した時も、税金が課される場合があります。考え方は、売却した時と同じです。100円で買った仮想通貨で、200円の品物を買った場合には、100円の利益となるわけですからそこに対して課税されます。頻繁に決済するほど複雑になるので、仮想通貨が決済手段として普及するためにはもう少し改善が必要なように思えますが。
・仮想通貨同士で交換した時
仮想通貨を売却した場合や商品を購入した場合と同様に、仮想通貨同士で交換した場合にも税金が課されることがあります。考え方は同じで、日本円100円で購入した仮想通貨を別の仮想通貨に変換した時に日本円200円になったら、100円の利益として見なされる訳です。
・ハードフォークで新たな仮想通貨を得た時
仮想通貨にはハードフォークと呼ばれる、分裂が時々発生します。分裂が起きた時、新しい仮想通貨をタダでもらえることがあります。取得金額なく仮想通貨を手に入れることになるので、所得としてカウントする必要があります。
ハードフォークは珍しいケースですが、上の3つについてはいずれも「購入した金額よりも高い価格で決済(売却や変換)した場合に所得とみなされる」という認識で問題ありません。仮想通貨を始めたばかりの頃はなかなか理解が難しいですが、購入したまま保有しているだけ(売ったり使ったりしていない)場合には税金は発生しません。つまり「含み益」の状態では税金は発生しないので覚えておきましょう。
仮想通貨の利益の計算方法
仮想通貨での利益を計算するためには「取得金額(購入金額)」と「売却金額」を押さえておく必要があります。1年の中で購入した金額と売却金額が明らかに分かるというのであれば計算は簡単ですが、年をまたいで保有していた場合や頻繁に取引を重ねた場合にはそれだけ計算が複雑になってしまいます。しかし、最近では取引所のデータをもとに自動的に計算してくれるアプリやサイトなどもあるので、これらを活用するとかなり便利です。利益の計算はこうした専門的なサイトに任せるのが良いですが、一応「移動平均法」と「総平均法」については理解しておいた方が良いでしょう。いずれも1枚あたりの価格を計算するのに用います。
移動平均法とは、仮想通貨を購入する度に取得金額を求める方法です。少し計算がややこしいですが、100円の通貨を3枚保有していた人が、今度は110円で3枚購入したとします。この人が持っている仮想通貨1枚あたりの価格を計算する時に移動平均法を使う場合、まず購入金額をすべて足し(100円×3枚と110円×3枚なので630円)、その後保有枚数で割ります(630円÷6枚=105円)。すると、「105円」という取得価額の平均値が出るわけです。これが移動平均法で、購入する度に保有している通貨の取得金額が変わります。本来は移動平均法の計算はとても複雑ですが、実際の取引に近い計算ができ、最近はサイトなどでもすぐ計算することができます。
総平均法とは、ザックリ説明するなら、1年間で購入した金額と数量から求める方法です。1年で1万円を使っていてトータルで100枚保有していたなら、1枚あたりは100円ということになります。何度取引していても一発で求められるので簡単ではありますが、実際の取引とは乖離する恐れなどもあります。移動平均法で求めるか総平均法で求めるかは選択することができるので、自分が得になる計算方法で取得金額を求めると良いでしょう。
仮想通貨の税金の計算方法
さて、それでは実際、仮想通貨を売却するなどして利益を得たとしましょう。そこで気になるのが、「どれくらいの所得税がかかるのか」についてです。たとえばFX(外国為替証拠金取引)では「一律20.315%が課税」という分かりやすい計算式が用いられています。しかし、仮想通貨はまだ法整備が充分ではないこともあり、「雑所得」に分類されるに留まっています。そして、雑所得は「総合課税」とされています。
総合課税とは、ほかの所得をすべて合わせたうえで所得税が課されるということです。つまり「仮想通貨でいくら稼ぐといくらの税金がかかる」と言えない訳です。仮想通貨で同じ100万円の利益を出していたとしても、ほかの所得が全くない人と年収4000万円のサラリーマンとでは、最終的に課税される所得税は大きく異なるのです。所得税は、累進課税となっていますから、所得が大きくなればなるほど多くの税金を納めなくてはならなくなります。5~45%と幅が広いので、自分の所得がどのラインにいるかチェックする必要があります。
いくら稼いだら課税される?
ここまでで、仮想通貨に税金が発生するタイミングや税金の計算方法などを紹介してきましたが、実は仮想通貨で少し稼いだくらいでは課税対象にならない可能性があります。これは、「控除」(所得から差し引ける、この額までは無かったことにして良いよという特典のようなもの)というものや事務手続きの簡略化などの措置が用意されているからです。職業などによっても異なるので、それぞれ紹介します。
サラリーマンの場合
給与所得のあるサラリーマンについては、仮想通貨で20万円以上の収益がある場合には確定申告が必要になります。裏を返せば、20万円以下であれば確定申告は必要はありません。ただし意外と知られていませんが、住民税については1円であっても申告する必要が生じます。住民税はそもそも特別な申告が必要なく、確定申告や会社の年末調整をもとに各自治体が計算するものですが、20万円以下の場合には確定申告が不要なのでその分がスルーされてしまうことになるためです。心配な場合には各自治体に問い合わせてみましょう。
自営業の場合
個人事業主やフリーランスの場合は、仮想通貨での利益が1円でもあれば申告する必要があります。そもそも事業の方で普段から確定申告をしていると思うので、そこまで負担にはならないと思いますが、雑所得の欄に記載する必要が出てきます。
学生や主婦の場合
サラリーマンが20万円なのに対して、アルバイトやパートをしていない学生や主婦の場合には基礎控除である38万円までが基準で、仮想通貨による利益が38万円以下であれば確定申告の必要がありません。一方、アルバイトやパートをしている学生や主婦の場合には、給与所得がいくらあるのかによって所得税が発生するか変わってきますが、仮想通貨の利益だけで考えるならば同じく38万円以下であれば確定申告は必要ありません。なお、確定申告が不要であっても住民税の申告は必要となります。また学生や主婦の場合には、配偶者控除や扶養などもあるので、稼ぎは十分に注意する必要があります。
確定申告の方法
最後に、サラリーマンの場合で20万円以上、主婦や学生の場合で38万円以上となってしまった時の確定申告はどうすれば良いでしょうか。初めての確定申告は不安なことも多いと思いますが、一度経験すればこの先同じようなことがあっても理解ができると思うので、手順を踏まえて進めていきましょう。
1:確定申告書を入手する
確定申告書を入手することから始まります。税務署のほか、役所やネットなどからも入手できるので早めに手に入れておきましょう。
2:必要な情報や書類を準備する
確定申告には必要書類を添付する必要がある項目もあります。また、仮想通貨の利益について申告する場合には、仮想通貨による所得額を計算しておく必要があります。すでに紹介した計算サイトなどを活用して、1年間で出した利益を計算しておきましょう。
3:確定申告書を作成する
確定申告の作成は、手書きのほかネットでも可能です。初めてだと難しいので、書き方や見本などを参考にしながら焦らずに作成しましょう。
4:提出する
確定申告の提出は、税務署に直接出向くか、郵送で提出が可能です。正しくできているか心配な場合には、税務署に直接出向いてチェックを受けると安心です。ネットからも提出可能です。
5:納税する
確定申告で算出した納税額を納めます。納付書を持って郵便局やコンビニなどで納めることが出いますし、銀行口座から振替もできます。
なお、確定申告をしなくてはならない状態で申告しなかった場合には、脱税などの罪に問われるほか、後でバレた場合には無申告加算税や延滞税などが追加徴税されることになります。自分で確定申告をするのが難しそうな場合には、税の専門家である税理士などに相談すると良いでしょう。
以上、学生が仮想通貨で利益を出した時の税金について紹介しました。初めて仮想通貨を取引した時は、税金のことなど心配になってしまうかも知れませんが、手順や方法を理解すれば難しくありません。税金や確定申告のことを押さえて仮想通貨を賢く取引しましょう。当ブログでは、他にも仮想通貨のことやお金にまつわる記事を多く書いていますので、ぜひ合わせてご覧になってください!