【起業の失敗談】最初の料金設定を間違えてはいけない

起業の失敗談として「料金設定」をテーマにまとめました。

どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。私は今でさえブログを運営しながらライターをしている訳ですが、この仕事をする前は、街の小さな学習塾を運営していました。個人事業主として小中学生に勉強を教えていたんです。初めての起業で右も左も分からない状態だったわけですが、起業を通して感じたのは「料金設定」の重要性です。そこで今回は、これから起業や開業を考えている人の参考に少しでもなればと思い、私の実体験を交えながら、料金設定をテーマに失敗談を綴っていこうと思います。

 

初の起業で学習塾を経営

私は新卒で入社した企業を脱サラし、個人事業主として学習塾を開くことを決意しました。起業といっても株式会社をたてるわけでもなく、講師1人で教える小さな街の学習塾です。とはいえ、学習塾をイチから立ち上げるというのはなかなか大変でした。個人事業主として、税務署に申請に行ったり、塾に必要な部屋探しや机などの購入、教科書の入手ルートの手配など、やるべきことはやまほどありました。だいたい数ヶ月の準備期間を経て、初めての起業として学習塾の経営を開始したのです。

 

最初の料金設定を安くし過ぎた

さて、塾で食っていくと決めたからには、とにかく第一の目標は「生徒を集めること」です。生徒が一人も来なければ結局続けることは困難ですからね。そこで私は、まず地域の塾の価格帯を調査しました。そして、どこよりも安い塾を目指そうと決めたのです。安い方が集客はしやすい、そう安直に考えていたわけです。その一方で初の起業をする私が、生徒やその保護者に対してどこまでのクオリティで指導できるか、いささかの不安や自信の無さが価格にも表れていたのかもしれません。こうして、料金設定がかなり魅力的な無名の学習塾がオープンしたわけです。

実際に開業してみると、これがなかなかの反響でした。新聞広告を1回だけ入れただけなのに、生徒募集初日から両手で数えるくらいの生徒と保護者から問い合わせがありました。入念に準備をしていたので、無料体験や面談などはスムーズにいきました。この時はとにかく、「生徒を集めること」に必死でしたし、料金が安いことでニーズがあると感じていたため、特に料金の安さについては気になりませんでした。しっかりシミュレーションもしたつもりでいましたからね。

 

生徒数は順調も収益は伸び悩み

さて、最初の生徒集めも無事成功に終わり、塾の経営がスタートしました。しかし、しばらく続けているとあることに気が付いたのです。それは、「一度に教えられる生徒数に限界があること」です。開業当初のシミュレーションでは、一度に4~5人の生徒を一挙に見るスタイルを想定していたのですが、実際に指導してみると私の指導方法では、一度に2人、多くても3人がベストだと感じたのです。生徒が集まりつつあるといっても一度に4~5人をコンスタントに集めることは難しかったですし、次第に個別指導のスタイルへと変更していきました。

こうなると、単価の問題が表出してきます。本来一度に4~5人教えられれば良いと考えていたものが、その半分以下ということになると、収益は計画の半分にも満たないということになります。おかげさまで生徒数は、自分が教えられるほぼ限界まで集客できましたが、限界を迎えたところで大きな儲けにはならなかったのです。価格が安いことで来てくれた生徒も多かったとは思いますが、生徒が満足に集まってもなお、収益は伸び悩んでしまったのです。

 

授業料のアップも検討はした

料金の低さが経営を圧迫しているのであれば、授業料を上げれば良いのではないか? 多くの人はこう考えることでしょう。たとえば飲食店なら、安くし過ぎた料金を少し高くすることは簡単かもしれません。しかし、塾となると話は別です。低価格を売りにして集客をしていたわけですから、突然に授業料を高くすれば、通ってくれている生徒に迷惑がかかります。塾というのは数年単位で通ってもらうものですから、料金のせいで別の塾に通わなくてはならなくなったら生徒にはものすごい負担になります。保護者としても不満や不信感を抱えてしまうに違いありません。こうした懸念から、今通っている生徒の授業料をアップするというのはできないと判断しました。

これから入ってくる生徒に対しては、新しく少し引き上げた料金設定をしました。それでも生徒はある程度集まってきたので、とても有難かったです。とはいえ、同じ指導をしているのに、授業料の異なる生徒が混在しているというのは自分でも違和感でしたし、心苦しい気持ちでした。

塾という事業が残念な点は、教える人に対して生徒数の限界があるということです。私一人では数十人までの生徒しか抱えられず、それ以上収益を伸ばすのが困難であると判断しました。もちろん、講師を採用することも検討しましたが、街の小さな塾ではそれがかえって経営を圧迫する恐れもあったのでやめました。結果として、その他テナント交渉や保護者とのやり取りを経た結果、学習塾を閉じる決意をしたのです。生徒には迷惑がかかるとも思いながら、苦肉の決断となりました。

 

最初のミスが経営を圧迫することは多い

私の場合、もし料金を高くしていたら生徒自体が集まらなかった可能性は十分考えられますが、もしこの生徒数で料金を高くしていたら経営をもっと継続できていたのではないか、と思っています。失敗の原因は、やはり「最初の料金設定」にあったと考えています。私は起業にあたって何度もシミュレーションしたつもりでしたが、それでも考えが甘かったのです。あらゆる可能性まで考えを巡らせ、継続や成長に焦点を当てて、料金を設定するべきだったのです。

実際、街中を見渡してみてもこうした初期のミスが響いているな、と感じる企業や事業所を多く見かけます。たとえば、私の家の近くにある日カレー屋さんができました。インド人が経営しているようで、人柄も良く、カレーもとても美味しかったお店でした。しかし、驚くべきはその料金。こんなに本格的なカレーを提供しているのに、ワンコイン。これで経営を続けられるのだろうか?と思っていた矢先、やはり経営難を理由に潰れてしまったのです。とても美味しかったので、とても残念な気持ちになりました。クオリティに対して料金設定が甘いあまりに、経営を続けるのが難しくなってしまう例って意外に多いと思います。

 

途中の「舵取り」が成功のカギ

さて、こうした最初の料金設定を理由に経営難に陥ることを防ぐには、どうしたら良いのでしょうか。方法は、大きく2つです。1つは、「最初の料金設定を厳しく見積もる」こと。特に私が経験した学習塾のように、途中で価格の変更をするのが難しいような場合には、最初の料金設定が肝心です。集客を目指すあまりかなり甘く見積もってしまうと、いずれは自分の首を絞めてしまいかねません。少し取り過ぎかな?と思うくらいの料金設定をして、その中でクオリティを高めていくというのが最も健全な営業につながると思います。

もう1つの対策は、「早めの舵取りをする」こと。低い価格のまま営業をズルズル続けていくと、取り返しがつかなくなります。経営が厳しい理由を早めに突き止めて、料金を変更するなどの対策を講じることが出来れば、すぐに経営も転換できることでしょう。唐突に料金を値上げするのは、それまで来てくれた人に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになるかとは思いますが、私の塾やカレー屋の例のように、潰れてしまう方が多くの人に残念な思いをさせてしまうことにもなります。料金を上げるという英断をすることも、経営者にはとても重要なことだと思います。

 

以上、私の学習塾経営の経験をもとに、料金設定の重要性について書いてみました。私は見積もりが甘かったせいで経営が難しくなってしまいましたが、これから起業や開業を考えている人は、ぜひこうした視点も持ったうえで臨んでほしいと思います。皆様の事業が成功されることを心から祈っております。

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