脱サラ後の税金と社会保険料についてです。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。私は新卒で入社した会社をすぐに辞めて独立した経験がありますが、脱サラにあたって考えたいことに「税金」や「社会保険料」があります。なんとなく脱サラ後は税金や保険料の負担が大きくなるというのを聞いたことがあるという人もいると思いますが、なぜそうなってしまうのでしょうか。そこで今回は、脱サラ後の税金や保険料について詳しく紹介します。これから脱サラを考えている人はぜひ参考にしてみてください。
脱サラしたら1年目の負担が大きい?
一般的に「脱サラ」と表現した場合、サラリーマンや会社員を辞めて独立や企業をすることを言います。ですからたいていは、個人事業主になったり法人を立ち上げたりすることになるでしょう。とはいえ、脱サラして始めた起業がすぐに安定収入を得られるようになるとは限りません。私もそうでしたが、サラリーマン時代よりも所得が減ってしまうことも珍しくないのです。そうなった時に気になってくるのが、毎年負担しなければならない税金や社会保険料です。
脱サラした1年目は「税金」や「社会保険料」が高いとよく耳にしますが、本当でしょうか。結論から言うと、「負担が大きくなる」のは事実です。サラリーマンならではの恩恵が受けられなくなったり、サラリーマン時代の所得をベースに考えられてしまうものもあるため、脱サラ後の所得が少ないとかなり厳しいです。それぞれ分けて考えていきましょう。
脱サラ後の「税金」
働く上でかかってくる税金には、大きく分けて「所得税」と「住民税」があります。
・住民税
このうち、脱サラ後に大きな負担となるのが住民税です。住民税は、毎年1月~12月の所得を基本として翌年の6月から課税されます。脱サラ後に所得が下がっていたとしても、その前の年にサラリーマンとして稼いでいた額に対して住民税が発生することになるのです。これまでは給料天引きだったので感覚的にも気にならなかった住民税が、今度からは毎年振込用紙が送られてくるようになります。脱サラ後の起業がすぐに軌道に乗っていれば良いですが、下積みの段階であるとすればこの住民税は大きな打撃です。どれくらいかかるかについては、例年の源泉徴収票などを参考にすると良いでしょう。控除や市区町村によっても異なりますが、年収500万円くらいなら年間30万円近くかかるので少なくない負担といえます。
・所得税
一方で「所得税」は、脱サラしたことによる負担増はありません。サラリーマン時代は毎月の給与に対して課税されており、その都度源泉徴収されています。脱サラ後は、その後の所得に応じて所得税が課税されることとなります。もし脱サラ後にあまり稼げなくてもその分に対しての課税になるので、そこまで心配する必要はないでしょう。なお、年の途中で脱サラした場合には、確定申告を通して所得税の再計算をし、サラリーマン時代に払い過ぎていた税金を還付してもらったり、追加で納めたりする必要があります。
【脱サラ後の社会保険料】
脱サラにあたって関わってくる保険料には、「健康保険料」と「厚生年金保険料」の2つです。それぞれ具体的に見ていきましょう。
・健康保険料
住民税に並んで負担が大きくなるといえるのが、「健康保険料」です。意外と知られていませんが、サラリーマンの健康保険には魅力が2つあります。1つが、労使折半と呼ばれるもので、会社が保険料の半分を負担してくれています。さらにもう1つが、扶養の概念。健康保険では、条件を満たした配偶者や子供は扶養の対象として支払いが免除されています。脱サラして独立をし、国民健康保険に移った場合は、この2つのメリットが一切なくなり、保険料は全額自己負担、扶養の概念もなくなってしまうのです。退職から20日以内に手続きをすることで2年間会社にいた時と同等の健康保険に加入できる任意継続という仕組みもあるので、検討してみると良いでしょう。ちなみに、年収500万円稼いでいた場合には年間30万以上の負担になることもあります。
・厚生年金保険料
「厚生年金保険」は、サラリーマンが支払う年金保険で、こちらも給与から天引きされ、さらに労使折半となっています。しかも魅力的なのは、年金の2階建てに相当し、職業問わずすべての国民が納めている国民年金保険に上乗せしてもらえる点です。脱サラしてしまうと、この2階建てが1階建ての国民年金保険のみになり、しかも労使折半の部分がなくなるので全額自己負担となります。月額2万円弱を自分で納める必要が出てくるので覚悟しておく必要があります。ちなみに、2階建て部分が無くなるので将来もらえる年金も少なくなります。
いずれも、会社で天引きされていた保険料を自分で負担することになります。脱サラ時には、役所で適切な手続きが必要となるので忘れずに行いましょう。なお、サラリーマン時代に負担していた「雇用保険」と「労災保険」の負担は、会社を辞めるとなくなります。ただこの2つはもともと大きな額ではないので、無くなったからと言ってそこまで影響するものではありません。
脱サラ後の負担増は覚悟する必要がある
さて、ここまで紹介した通り、サラリーマンを辞めてしまうと、住民税・健康保険料・年金保険料の負担が重くなることが分かります。年収500万円と仮定すると、住民税で約30万円、健康保険でも約30万円、国民年金保険料で約20万円と、「総額80万円」もの負担が翌年にかかってくる計算になります。もちろん年収にもよりますが、会社を辞めるにあたってはこれだけの負担があることを覚悟しておかなくてはなりません。
ところで、脱サラして2年目以降はどうなるでしょうか。サラリーマン時代に比べると、労使折半されていた健康保険料や年金が、全額自己負担になるということで、その点については負担が増えています。ただ、国民健康保険料や住民税は脱サラ1年目の所得をベースに今度は計算されることになるので、所得に応じた負担額に戻ることになります。さらに、個人事業主であれば「経費」を使ったり「節税」を駆使したりすることで、課税される所得の額を引き下げることが可能です。うまく立ち回れば、納めるべき税金を圧縮することも可能かもしれません。とりあえず、脱サラするにあたって考えたいのは、翌年の税金と社会保険料のことと言えるでしょう。
脱サラ後の負担を減らすために
脱サラ後は税金や社会保険料の負担が増えることが分かりました。そこで、これらの負担を減らすためにできる方法はあるのでしょうか。納めるべき金額自体を引き下げることは難しいですが、これらの負担に備えることは可能です。少しでも負担を感じないためにできる対策は以下の通りです。なお、会社の設立や任意継続なども一部対策になりますので検討してみましょう。
・起業資金以外の貯蓄をしておく
脱サラ後に起業をする人は、そのための資金をコツコツと貯めていることでしょう。開業時にかかる資金以外にも、数ヶ月分のランニングコストであったり、数ヶ月分の生活費であったりと準備していることが望ましいです。しかし、それだけではこれらの税金をカバーしきれない恐れがあります。年間80万円かかるということは、数ヶ月分の生活費がいとも簡単に飛んでしまうからです。退職後の税金や保険料は別枠で確保し、コツコツと貯蓄しておきましょう。
・退職金を充てる
長く働いた会社であれば、退職金をもらえるケースがあります。最近では退職金の支払われない会社も増えてきていますが、退職金がもらえるのであればそれでカバーするというのも一つの手です。ただし、ローンがあったり奨学金の返済があったりする場合には、それらとの兼ね合いも必要になるでしょうから、退職金はむやみに手を付けず、計画的に利用するようにしましょう。
・固定費をカットする
脱サラをすると決めた日から、同時に節約を開始するのをオススメします。家計の収支を見直してみると、意外な無駄遣いだったり、浪費だったりが露わになります。これから会社や個人事業を立ち上げようとしているのなら、資金の出入りを正しく把握する力は必要になりますから、練習だと思ってコストカットしていきましょう。特に大きな節約となるのが固定費です。最近話題のサブスクリプションなどの月額料金の解約や、格安スマホへの移行、水道光熱費のまとめ、など変動費を減らそうと思うよりもより大きな節約につながります。改めて家計を見直し、退職の日まで節約して浮いた分を貯めておけば、税金や保険料への足しになるかもしれません。副業をし始めるのも良いですね。
以上、脱サラ後の税金を社会保険料について、ファイナンシャルプランナーの立場から解説しました。長くなってしまいましたが、何となく仕組みが理解出来たら幸いです。私は会社に入社後すぐに脱サラしたので、こうした影響はほとんどありませんでしたが、長く勤めた会社ほど税金や保険料は莫大となり、なかなか辞めにくくなります。それでも、夢があるなど独立や開業を考えている人は、ぜひとも挑戦してほしいと思います。そのためには、会社を辞める日までにコツコツと資金計画をしておくのが大切です。お金のことは誰しもの悩みのタネですが、夢のために頑張りましょう! 当ブログでは、お金の記事も多くアップしていますので参考にしてみてくださいね。
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