【5分で分かる】会計でよく見る「のれん」とは一体何のこと?

会計でよく見る「のれんについて紹介します。

どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。5分で分かるシリーズ、今回は会計や決算書などでよく見かける「のれんをテーマに紹介していきたいと思います。「のれん」とは一体なんでしょうか。字面は見たことはあるけど意味がよく分からない人や、そもそものれんって言葉すら聞いたことがないという人など、会社に関わる全ての人がぜひ覚えておきたい「のれん」について紹介します。会計に無知識の方でも5分である程度理解して頂けるように、なるべくシンプルにかみ砕いて紹介したいと思います。

 

のれんとは?

のれんと聞くと「暖簾に腕押し」のことわざに出てくるような、老舗の入り口に掛かっているものを想像してしまいますが、会計や決算書にまつわる「のれん」は意味が違います。会計におけるのれんは、「企業を買収した時に、その企業の純資産額を上回って支払った差額のこと」を言います。そして、この差額がなぜ生まれるかというと、その企業が持つ「人材やブランド力、将来性などの無形の価値」を上乗せして買収するためです。さて、企業の買収? 純資産額? 無形の価値?普段聞き慣れていない方は、何のことやらと思うかと思います。もう少し具体的に見ていきましょう。

 

企業の買収は「純資産額+α」

企業の買収や合併(M&A)が行われる際、一方の企業がもう一方の企業に対して、買収価額を支払うことで成立します。この買収価額が決められる基準となるのが、企業の価値を表す「純資産額」です。純資産額とは、簡単に言うと、企業の持っている全ての資産から負債を差し引いて残る資産のこと。純資産額はその企業の資本力を表す数字で、株価などの時価総額に近い数値になります(実際は時価総額には、期待値などが加味されるので乖離することも珍しくありません)。純資産額は企業そのものの価値、資本力と言い換えても良いでしょう。もし企業を買収しようとするならば、純資産額分だけ支払えば良いのでは?と思われますが、実際は、純資産額に上乗せして支払われるケースが多いのです。

 

「+α」こそが無形の価値

たとえば、純資産額100億円の企業を買収するにあたって120億円の買収価額を支払ったとしましょう。100億円の価値の企業を買うのに120億円払うってなぜだ?と思われるかもしれません。この20億円分のことを「のれん」と言い、言い換えるならば無形の価値(プレミアムとも)ということになります。企業の価値である100億円は、純資産額であり、ここには企業の単純な資本力が含まれますが、目に見える形での現在の価値しか表れていません。企業の将来性や成長期待度などは織り込まれていないのです。そこで、企業の将来性や成長期待度、人材や技術力などの目に見えない価値(無形の価値)を評価して+αの価格で買収価額を決めるわけです。この+αこそが「のれん」であり、買収の際に純資産額に上乗せして支払われる理由というわけになります。

 

のれん償却とは?

のれんについて理解した所で、会計上よく見かける「のれんの償却について理解していきましょう。無形の価値を表すのれんですが、これは将来性などを織り込んでいる側面があることから、今現在の価値とは乖離します。買収したタイミングですべてを経費にしてしまうと、現実とはズレてしまいますから、のれん代については償却することが認めらています。償却とは、経年で利用する者に対して、購入した時点では一気に経費にせずに、決められた年数に応じて徐々に経費化していくことを言います。のれんの場合には、最大20年に渡って償却することになっています。

たとえば、100億円の企業を120億円で買収した場合、買収したタイミングでかかる経費は100億円となり、残りののれん分である20億円は20年間で徐々に償却、1年ごとに1億円を経費計上してくことになる訳です。毎年節税のために経費を使えるメリットもある反面、のれん代が貯まってくるとせっかく稼いでも赤字になってしまうなんてことにもなります。のれん代については、買収時だけでなくその先20年に渡っての価値を含んだ将来的な無形の価値ですから、20年に渡って償却していくことで実態に近づけていくわけです。決算書などで見かける「のれん償却」はこれのことですね。

 

その他のれんに関するポイント

のれんとは何かについてと、のれん償却について理解しておけばよいと思いますが、一応加えて、のれんに関するポイントとして2つばかり覚えておきたいことを紹介します。

・負ののれん

のれんについては、本来の価値に無形の価値が上乗せされることを言いましたが、逆に本来の価値よりも安く買収できるケースもあります。その場合を「負ののれん」と言います。このケースでは、例えば時価総額100億円の企業を70億円で買収出来たら、差額の30億円は買収した企業にとってはお得という見方もできます。この時、差額は当期の特別利益として計上することができます。ただし、負ののれんはあくまで「安く買えた」だけであって、実際に現金が入ってきている訳ではありません。利益を出しているように見せられる問題点もあります。

・欧米諸国での会計処理

日本ではのれん償却が一般的とされていますが、欧米ではのれん償却が原則として禁止されています。その代わりに、規則的な償却を行わず、のれんの価値が損なわれた時に減損処理を行うことになっています。日本は国際会計基準とは異なっているということは押さえておきましょう。

 

以上、「のれん」について紹介しました。ザックリな説明にはなりましたが、会計におけるのれんについて一つ詳しくなれたかと思います。当ブログでは、他にも5分で分かるシリーズはもちろん、お金にまつわる記事を中心に多くアップしています。ぜひ合わせてご覧になっていってくださいね。

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