保険会社はどのように利益を出しているのか?儲けのカラクリを解説

保険会社の儲けのカラクリを紹介します。

 

どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。日本人の多くが加入しているといわれる生命保険。テレビCMを見ていても、たくさんの保険会社が宣伝を打っています。保険と言えば、集めたお金をいざという時に必要な人に給付するイメージですが、保険会社ってそもそもどのようのに儲けているのかご存知ですか? そこで今回は、保険会社がどのように利益を生み出しているのかについて詳しく解説したいと思います。

 

収支相等の原則

生命保険には、「収支相等の原則」といわれる基本的な仕組みがあります。収支相等の原則とは、契約者が払い込む保険料の総額(+運用益)と、保険会社が支払う保険金の総額(+経費)は相等しくなるという原則です。契約者から集めたお金の総額と、保険会社から払い出すお金の総額は同じでなくてはならないという原則です。

しかし、ここで疑問が一つ生じます。集めたお金と払い出すお金が一緒であるとするならば、胴元ともいえる保険会社はどのようにして利益を出しているのでしょうか。保険会社と言えど、立派な会社ですから利益が出なければ存続することはできませんし、成長もできません。収支相等の原則が本当なのだとすれば、保険会社の利益はどうなっているのでしょう。

 

保険会社はどのように保険料を設定するか

利益について理解する前に、そもそも保険会社はどのように保険料を設定しているのでしょうか。誰がどのくらい死ぬかなんて将来のことは把握できませんし、もし計算が甘かったら集めたお金以上の払い出しをしなければならなくなりますよね。保険会社が設定する保険料は、以下の計算基礎率(予定基礎率)に基づいて計算します。

予定死亡率:年齢別の死亡者数

予定利率:運用することによる利益

予定事業費率:事業を運営するための費用

この3つを様々なデータによって定めることで、保険料を設定します。それぞれあくまで試算でしかありませんが、保険は「大数の法則」を応用して率を見込んでいると言われています。大数の法則とは、少数では不確定のことであっても、大数で見ると一定の法則があることを言います。契約者がたくさんいれば、それだけ試算通りの結果に集約されていくということです。

 

保険会社の3つの利益

保険料を設定する際には、多少のずれを想定して少し余裕を持った基礎率を設定することが多いです。そのため、実際には見込んだ数値よりも離れることがあり、それによって得られる利益のことを差益と言います。そして、保険会社の利益を考える上で欠かせないのが、この差益で、種類は3つあります。「利差益」「死差益」「費差益」と呼ばれる3つの利益について、それぞれ見ていきましょう。

 

①利差益

利差益とは、予定よりも実際の運用がうまくいったときの利益のことを指します。保険会社は、顧客から預かったお金を運用に回しています。運用と言っても、強気な投資はあまりせず、公社債など安全と言われる資産に対して投資をすることで運用しています。運用に失敗すると、顧客の大事なお金を失うことになってしまいますから、保険会社も慎重です。仮に利率がごく僅かであっても、保険会社は私たちの想像を超える多額の資金を長期に渡って運用していますから、その効果は少なくありません。こうした運用によって得たお金が、予定したよりも多ければ、利差益となって、配当金に回したり、保険会社の利益の一部となるのです。

 

②死差益

死差益とは、予定よりも実際の死亡者数が少なかった時の剰余金のことを指します。早い話が、予定していたよりも保険金の払い出しが無かったために余ったお金のことです。この死差益は、実は保険会社の利益の中でも大きなウエイトを占めると言われています。というのも、いくら大数の法則があるとはいえ、突然死亡率が上がることもあるかもしれませんよね。そういった事態も想定して、安全率と呼ばれる余裕部分を計算に含んでいる訳です。ですから、大数の法則通りに事が運んだ場合、死差益が多く生じることになるのです。死差益についても他の差益と同じく、一部は配当金に回しつつ、残りは保険会社の利益になります。

 

③費差益

費差益とは、予定よりも実際の事業費が少なかった場合に生じる利益のことを指します。想定していた運営費よりもコストを抑えることが出来れば、その分利益が増えるということになりますね。そもそも予定事業費率は企業によってばらつきがあります。最近台頭しているネット保険では、人件費などのコストをカットしているため、事業費の額がぐんと少なく、その分を保険料に還元できています。最初の見積もりを余裕を持って行い、営業努力によってコストを少なくすれば、その分会社の収益に計算されることになります。

 

一部の商品では差益を配当金に回す

生命保険の中には、配当金が定期的にもらえるものと、配当金がもらえないものがあります。配当金とは、保険に加入しているともらえるもので、今紹介した「差益」によって剰余金が生じた時に加入者に支払われます。通常、配当金がもらえる保険は、その分保険料が高くなる傾向にあります。一方、配当金がもらえない保険では、配当金が無い反面、保険料は最初から安く設定されています。配当金に回した分以外の差益は、そのまま保険会社の利益に計上されるといったカラクリになっています。保険を選ぶ際には、配当金についても意識するようにしましょう。

 

このように、保険会社は、予定よりもプラスにずれた額を「差益」として、その一部を加入者への配当金として還元、残りを保険会社の利益としています。保険会社の儲けのカラクリについて理解いただけたかと思います。当ブログでは、他にもお金にまつわる記事を多くアップしています。お時間の許す限り、ぜひ他の記事もチェックしてくださいね!

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