本屋の未来について紹介します。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。実は私、5年以上の書店員経験があり、ライターをやっている関係で出版関係にもいくらか知識があります。特に書店の現状については、ここ数年の変化を近くで見ています。最近、街でも見かけなくなった書店ですが、今後もっと潰れる運命にあるのでしょうか? そこで今回は、気になる書店の利益率や、書店を取り巻く逆風について詳しく解説したいと思います。書店の未来を不安に思う方は、ぜひ最後まで読んで下さいね。
本の価格に対する書店の取り分
売上から原価を差し引いた金額を「粗利」と言いますが、書店で言う粗利は、本の価格に対する取り分を指します。本の価格に対する取り分の内訳は、およそ以下の通りと言われています。
・著者の取り分:10%
・出版社の取り分:60%
・取次の取り分:10%
・書店の取り分:20%
書籍の種類や店舗にもよりますが、書店の取り分は本の価格のおよそ20〜25%程度とされています。もし、500円の本が1冊売れた場合、書店の利益は100円ということになります。
書店を経営する上でのコスト
書店の粗利はおよそ20%だと分かったところで、これがそのまま書店の利益になるわけではありません。粗利から、様々なコストが差し引かれます。例えば、店舗の家賃やテナント代、電気代、人件費などです。これらのコストを販管費と呼び、粗利から差し引くことで、営業利益を算出することができます。
立地や時給などによっても差がありますが、一般的に書店の営業利益は3〜5%と言われています。中には、近年の書店への逆風を受けて赤字の店舗も少なくありません。1冊500円の本が売れたところで、会社に入る利益はわずか20円程度。書店が薄利な商売と呼ばれ、万引きや売上低迷で潰れてしまうのも納得ですよね。
書店を取り巻く逆風
書店は年々、その数を減らしています。個人で経営している書店も少なくなり、いわゆる街の本屋さんも減りました。生き残っているのは、大手の書店くらいといっても過言ではありません。というのも、書店は薄利な商売であること以外にも、近年さまざまな逆風が吹いており、厳しい状況にあると言わざるを得ません。それぞれの逆風について細かく見ていきましょう。
①万引きと万引き対策のコスト
ご存知の通り、万引きは書店にとって長年の課題です。1冊500円の本であっても盗まれれば、大きな損失。1冊20円程度の利益しか出ないわけですから、1冊でも盗まれると25冊売らないとカバーできなくなります。また、万引き対策にかける防犯カメラや防犯タグなどにかけるコストも少なくありません。
②若者の活字離れ
近年、若者の活字離れも指摘されるところで、本を読まない人が増えているといわれています。通学時間や余暇時間に、読書に代わってスマホを見る人が増えたのも要因の一つとされています。学校でも教科書に代わりタブレットを使うところも増えてきており、今後ますます読書の機会は失われていくと考えられます。
③ネット書店の台頭
リアル書店の売上を蝕んでいるのが、ネット書店と言われています。ネット書店は、買いたいときに店に行く必要がない、注文すると最短で翌日届く、人目を気にせず本を買える、などリアル書店に勝る点が多々あります。リアル書店の良さも一方であるものの、利便性については勝ち目がないともいえます。
④漫画アプリや電子書籍の急成長
近年、出版社などが提供する漫画アプリや、タブレットなどで読むことができる電子書籍が急成長していると言われています。スマホを保有する若者を中心に利用者が多く、その反面、紙の本が売れにくくなっています。価格勝負のできない書店は、生き残りをかけて様々な工夫をするほかない窮地に立たされています。
以上、書店の利益率や逆風について紹介しました。紙の本は絶滅する、なんてことはないと思いますが、一部のリアル書店を除いてはかなり厳しい状況になることは予想されます。何か力になれることがないか考えものですが、書店の現状を把握することは大切ですね。当ブログでは、他にもお金にまつわる記事を多くアップしています。ぜひ併せてご覧になってくださいね。