前払いで利益を得た場合の計上方法についてです。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。私は数年間、個人事業として学習塾を経営していたことがあります。その時の会計処理で以外と複雑だなと思ったのが、「前払いでもらったときの会計処理」についてです。学習塾を運営していたり、商品を提供するにあたりそれ以前に料金を支払ってもらったりする業種の人は、同じ悩みを抱えているかもしれません。そこで今回は、私の経験も含め、個人事業主向けに、前払いを受けた際の会計方法について詳しく紹介します。
前払いが生じる業種は?
通常、サービスや商品を提供する場合、お金の支払いを同時に行うのが一般的です。しかし中には、その性質上、「前払い(先払い)」を前提としている業種もあります。たとえば、学習塾が挙げられます。学習塾は、学習指導というサービスを提供する前の月に月謝を徴収するのが一般的です。習い事などでは、料金後払いにしてしまうと授業料を回収できないケースも多くあるため、前払いとしているのが普通です。また、ゲームショップなどで、まだ発売していない商品の予約時に前金をいただく形式にしているところもあります。このように、サービスや商品を提供するより前にお金をいただいておくケースでは、どのように会計処理を行えば良いでしょうか?
前払い時に売上計上してはいけない!
たとえば学習塾のケースを例にとると、「前払いの授業料を受けた時にそのまま売り上げとしてしまえば良いのでは?」と思う方もいるかもしれません。確かにそれなら一度の処理で良いので便利ですが、実はこの処理はやってはいけません。というのも、次の月の授業料をもらった時点では、まだ授業というサービスが完了していないためです。役務の提供が完了していない段階では、売上として計上することはできないのです。
それでは「サービスが完了したタイミングで売上に計上すれば良いのでは?」と思う方もいるかもしれませんね。これも基本的にはいけません。前払い金を頂戴している以上、その記録をしないのは不備とみなされます。会計の基本として、お金のやり取りが発生したごとに記録する必要があるためです。そこで使える仕訳科目が「前受金」というものです。
前払いでもらった収益の会計方法は?
サービスや商品の提供が完了しておらず、前払い金でもらったお金は、一旦「前受金」として処理します。前受金は文字通り、サービスや商品の提供がまだの段階でもらったお金のことを指します。そして、サービスや商品の提供が完了したタイミングで、この前受金を売り上げに計上します。このように大きく2つの手順を踏むことによって、前払いでもらった収益を会計処理することができます。
①前払いされた時に「前受金」で仕訳
たとえば現金で、前払い金1000円をもらった場合、次のような処理を行います。
(借方)現金:1000円 = (貸方)前受金:1000円
②サービス完了・商品お渡しの際に「前受金」を売上計上
塾の場合なら生徒のその月の授業がすべて終了したタイミングで、商品の場合なら商品を受け渡ししたタイミングで、次のような処理を行います。
(借方)前受金:1000円 = (貸方)売上高:1000円
この2つの仕訳を行うことで、前払いでもらった場合の処理を完了することができます。2回も帳簿を付けなくてはならないのでやや面倒ですが、これを正しく行うことで、12月に支払われた1月のサービスなど年度をまたぐ場合にも対処が可能です。ぜひ、個人事業の方でこうした前払いに悩んでいた方は参考にしてみてくださいね!
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