法人成りするメリットについて解説します。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。事業を営むにあたっては、街の小さな八百屋さんのような個人事業主という形態もあれば、チェーン店のような株式会社の形態をとるところもあります。中には、個人事業主で事業を行っていた人が会社を立ち上げる「法人成り」という手段を取る人もいます。個人事業主と会社(法人)では、一体どのような違いがあるのでしょうか。そこで今回は、法人成りするメリットとその最適なタイミングについて詳しく解説します。
法人成りとは?
法人成りとは、個人事業主から株式会社などの法人に成り代わることを言います。単に、法人化とも言います。ここでいう法人とは、早い話が法律で権利を認められた「会社」のことで、定められた手続きを踏むことによって個人事業主から会社設立に舵を切ることを、法人成りと言うのです。もともと会社を設立したかったけれど、リスクの面からまずは個人事業主でやってみて軌道に乗ったら法人へ、というパターンもあれば、事業が拡大して法人になった方が恩恵が多いと判断して法人になるパターンなど様々あります。
法人成りのメリット
わざわざ個人事業主から法人になるということは、それなりの恩恵があるということでもあります。ここでは、法人成りをする理由としてよく挙げられる3つのメリットを紹介します。
・節税効果がある
法人成りの最大の恩恵は、節税効果です。個人事業主の場合、個人に対して所得税が課されます。所得税には、稼いだ分だけ税額が大きくなる超過累進税率が採用されており、5%から最大45%が課税されます。これに対して法人の場合は、法人税が課されることになり、普通法人の場合で一律23.2%。年間所得が一定額以下の場合にはさらに軽減税率も用意されています。このため、個人事業主で一定額以上の所得がある場合には、法人成りをした方が納税額を抑えられる可能性があるのです。他にも、消費税の免除や経費扱いの範囲など、税制上有利になる点は多くあります。
・信用が得られる
節税メリットもさることながら、社会的な信用を得られるのも法人成りのメリットと言えます。個人事業主とは取引しない業者も少なくなく、法人であることを条件とする業者も見かけます。また、きちんとした会社の肩書を持つ方が、人材を確保しやすくなる側面もあります。
・社会保険に加入できる
個人事業主の場合、事業主は国民健康保険と国民年金に加入しています。特に国民年金については一階部分でしかなく、サラリーマンと比較するとどうしても見劣りする面があり、将来を不安視する自営業者も少なくありません。法人成りすると、健康保険と厚生年金に加入することが義務付けられますから、保険料こそ高くなるものの、将来的な安心を得ることができます。
法人成りのデメリット
節税を始めとして法人成りのメリットは多くありますが、一方で注意したいデメリットやリスクもあります。
・コストがかかる
個人事業主を始めようとしたら、税務署と地方自治体に開業届を提出するくらいで、これといった手数料もかかりませんでしたが、会社を設立する場合にはそれなりの資金が必要になります。手続きにかかる手数料や専門家に依頼するコストもさることながら、資本金の準備が求められます。株式会社は1円から起業できるといわれますが、信頼度の面などから現実的とはいえず、100万円~1000万円程度の用意が必要になるでしょう。
・手間がかかる
コストと同じくネックになるのが、手続きの手間や労力です。会社を設立する場合には、定款の作成と認証手続き、法務局への登記の手続き、税務署や地方自治体への申請など、個人事業主の比ではありません。また会社設立後も決算書の作成などが必要となりますので、専門家への依頼も含めてよく検討する必要があります。
・利益が不安定になると厳しくなる
個人事業主として大きな利益を出せるようになったら法人成りが視野に入るわけですが、一度法人になってから、仮に利益が不安定になったり赤字になったりすると、かえって損をすることになります。特に法人は赤字になっても均等割の支払いがあるため、大きな負担になってしまうリスクがあります。
法人成りに最適なタイミング
メリットの多い法人成りですが、節税の側面を持つことから、どのタイミングで法人成りするかはとても重要なポイントになります。一般的に、法人成りに最適なタイミングとされるのは、以下のような時期です。
・所得が500万円を超えるタイミング
法人成りのメリットのところで、所得税と法人税の差について触れましたが、この節税の恩恵を得られるのが、だいたい所得が400万円を超えたところくらいからと言われています。ただし、400万円ですとわずかに法人成りの方が有利になるくらいで、法人成りのコストやその後のリスクも考えるなら、所得が500万円を超えたタイミングで法人成りを検討するのが良いといえます。
・売上が1000万円を超えるタイミング
売上が1000万円を超えてくると、消費税の課税事業者になります。しかし、新設法人であれば最初の2年間は免税事業者となることができます。個人事業主の開業の場合も2期目までが免税事業者となりますので、その恩恵が終わるタイミングで法人化して、また2期目までの免税事業者になれば、かなり節税をすることができるでしょう。
・事業拡大を狙っているタイミング
個人事業主である程度軌道に乗り、今後事業拡大を狙っているという場合にも法人成りの絶好なタイミングと言えます。節税ももちろんですが、法人になることによる信頼度などが事業拡大に寄与する可能性もあるので、うまく利用するというのも一つの手といえるでしょう。
以上、法人成りのメリットとデメリット、最適なタイミングについて解説しました。個人事業主の方は参考になったかと思います。事業拡大を目的としない場合でも、利益を多く得ている場合には税制上で有利になる可能性があるので、検討してみても良いかも知れません。当ブログでは、他にも個人事業主向けの記事や、お金にまつわる記事を多くアップしています。ぜひ併せてご覧になっていってくださいね!
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