借家権と借地権の違いについて詳しく解説します。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。FPや宅建の資格勉強をしている人の中には、「借家権」や「借地権」の意味がよく分からず、混乱しているという方も多いのではないでしょうか。かくいう私も、FPの勉強をし始めた頃はよく分かりませんでした。そこで今回は、借家権と借地権の違いや、土地の評価に関することなど、FPなどの資格勉強に不可欠な知識を詳しく解説します。
借家権とは?
借家権とは、賃貸借契約で建物を借りる権利のことです。一般的には、アパートやマンションの部屋を借りているケースや、一戸建てを借りて住んでいるケースなどが該当します。借家権は、後の紹介する借地権とともに借地借家法に定められています。借家権は、登記が無くても引渡しの事実があれば第三者に抵抗することが可能です。借家権は大きく以下の2種類に分かれています。
・普通借家権
契約期間を1年以上で定め、1年未満や定めない場合には期間の定めが無いものとする借家権です。一般的な借家権で「いつ退去するかは分からないけれど部屋を借りる」ケースなどが該当します。期間に定めが無い場合、正当な事由をもって、借主からは3ヶ月前、貸主からは6ヶ月前に契約終了の申し出をする必要があります。
・定期借家権
期間は自由ですが、あらかじめ定めた期間が終了すると正当な事由が無くても契約が切れる借家権です。「2年間の契約で、特別な事情が無ければ2年以後の更新はしません」というようなケースが該当します。公正証書等の書面で契約する必要があり、貸主には説明義務がある他、期間終了の1年前から6ヶ月前までに通知する必要があります。また、お互いに期間内の一方的な解約申し入れができない(転勤や介護などを除く)のが特徴です。
借地権とは?
借地権とは、その土地を借りて利用する権利のことです。一般的には、土地だけを借りてその上に自分で建物を建てるというケースが分かりやすいでしょう。土地を借りている人を借地権者、土地を貸している地主を借地権設定者と呼び、借地権のルールは借地借家法に定められています。借地権は大きく以下の2種類に分かれています。
・普通借地権
多くの家で契約されている一般的な借地権で、当初の契約を30年以上で定める借地権です。30年未満や期間を定めない場合は30年、更新後は20年以上、それ以後は10年以上で契約することとなります。普通借地権では、契約期間が終了しても建物があれば、更新を請求したり使用を継続した利することで契約更新と見なされます。また、借地権の登記が無くても借地権上の建物の登記があれば第三者に対抗することが可能です。
・定期借地権
定期借地権は、更新を前提としない借地権のことで、その中でも以下の3つに分けられます。
①一般定期借地権
契約は50年以上で、終了後は更地で返還する借地権で、契約は書面によります。なお、特約を定める場合には公正証書等によります。
②事業用定期借地権等
契約期間は10年以上50年未満で定めます。必ず公正証書で契約する必要があり、土地の利用は事業用に限られています。事業用に用いる社宅や寮などの建設は不可となっています。
③建物譲渡特約付借地権
契約期間は30年以上で定め、建物や契約の制限はありません。契約終了後は更地にする必要がなく、借地権設定者に譲渡をして土地を返却することになります。
土地の評価について
借家権は「部屋や建物を借りる権利」、借地権は「(建物を建てるための)土地を借りる権利」という大きな違いがあります。これらは土地や建物の賃貸借において重要な言葉ではありますが、相続や贈与などにおける土地の評価にも関わってきます。借家権や借地権の相続や贈与については、以下の式をもとに評価することになっています。
借家権の評価:評価額×借家権割合(30%)×賃貸割合
借地権の評価:評価額×借地権割合
借家権も借地権も相続の対象になり、以上のような評価をします。なお、賃貸割合は自身が所有する床面積/建物の各床面積の合計で求めることができ、借地権割合は路線価図・評価倍率表でチェックすることができます。
ここでもう一つ押さえておきたいのが、貸している側の話です。たとえば、建物を貸している場合や、借地権の設定された土地を保有している場合などは、上記の借家権・借地権の割合を差し引いた部分が評価額となります。よく、相続税を抑えるために賃貸用物件を取得した方が良い、と聞いたことがあると思いますが、これは賃貸用物件や貸宅地の方が、誰かに貸している分、評価額を抑えることができるためです。
貸家の評価:評価額×(1-借家権割合(30%)×賃貸割合)
貸宅地の評価:評価額×(1-借地権割合)
貸家建付地の評価:評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
以上、借家権と借地権について解説しました。FP試験に向けて勉強している人の参考になれば幸いです。当ブログでは、他にもFP対策になる記事を多くアップしています。YouTubeでもFP向けの講義をしているのでぜひ併せてご覧になっていってくださいね!
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