【FP解説】青色申告の3つの特典&メリットをひとつひとつ徹底解説!

青色申告のメリットをひとつひとつ詳しく解説します。

 

どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。私は個人事業主として、青色申告を選択して毎年確定申告をしています。「青色申告」は白色申告に比べてやや手間はかかるものの、得られる特典やメリットが多く、節税するためにはぜひとも選択したい制度です。そこで今回は、これから青色申告を選択しようと考えている人向けに、青色申告の主な特典3つを具体的にひとつひとつ詳しく解説します。

 

青色申告とは?

青色申告とは、確定申告をするにあたって複式簿記などの方法で記帳する申告制度のことです。青色申告をするためには、事前に管轄の税務署に青色申告承認申請書を提出して承認される必要があります。新たに受けようとする場合、その年の3月15日までか、1月16日以後に新規開業した場合には2カ月以内に提出する必要があります。不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかがあれば青色申告を選択できるので、フリーランスや個人事業主はもちろん、サラリーマンなどであってもいずれかの所得があれば選択可能です。

青色申告の承認を受けていない場合、白色申告になります。青色申告と白色申告の大きな違いは、必要な書類と特典です。青色申告を選択すると、複式簿記などの方法で記帳する必要がありますが、白色申告の場合には収支内訳書だけで問題ありません。その代わり、青色申告を選択すると、税制上有利になる特典が多く用意されています。

 

特典①青色申告特別控除

青色申告を選択すると、簡易簿記複式簿記で記帳する必要があります。簡易簿記は、1つの勘定科目を使って目的のみを記載する方法で、例えば「4月15日/消耗品費/500円」など簿記の知識が無くても付けやすい帳簿です。一方、複式簿記は、2つ以上の勘定科目を使って目的と手段を記載する方法で、例えば「4月15日/消耗品費/500円/現金/500円」などと表記します。いわゆる借方と貸方に仕訳する方法で、簿記の知識がある程度必要になります。ただ、最近は会計ソフトも便利になっているので、入力するだけで勝手に複式簿記を作成してくれるものも多くあります。

青色申告の中でもこの記帳法の違いで、青色申告特別控除の金額が異なります。複式簿記で記帳して貸借対照表損益計算書を併せて期限内に提出した場合、55万円が所得から控除されます。加えて、e-taxなどで提出すると最大の65万円が控除されます。所得税の課税対象となる所得を減らすことができるので、節税効果があります。簡易簿記の場合でも、10万円の特別控除があります。少し手間はありますが、会計ソフトなどを活用して複式簿記で記帳することで、最大限の特典を受けることができます。なお、白色申告の場合にはこの控除の特典は適用されません。

 

特典②青色事業専従者給与

個人事業主をしていると、家族に手伝ってもらい給与を支払うというケースもあるでしょう。しかし、基本的に家族への給与は必要経費とすることができません。これを解消するのが、青色事業専従者給与の特典です。本人と生計を一にしている配偶者や親族で、年齢が15歳以上かつその事業に専ら従事している人への給与であれば、相当と認められる全額を必要経費にすることができます。専ら従事している人、とは一年間で半年以上手伝っている人を指します。

なお、青色事業専従者給与の特典を受けるためには、青色事業専従者給与に関する届出書を提出する必要があります。また、白色申告の場合も事業専従者控除として必要経費にできる制度もあります。事前申請は必要ありませんが、本人の配偶者なら86万円、配偶者以外なら専従者一人につき50万円という上限があります。配偶者や親族に給与を支払う場合などは、青色申告で青色事業専従者給与の恩恵を受けた方がお得になります。

 

特典③純損失の繰越控除

純損失の繰越控除とは、事業で赤字が出た場合に、その損失分を翌年から3年間繰り越すことができる制度です。普通、事業所得などで赤字が出た場合、他の所得などと損益通算することになりますが、それをしてもなお控除しきれない純損失がある場合、翌年以後3年間繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。たとえば、ある年に300万円の損失が出たとします。純損失の繰越控除の制度を利用すると、次の年500万円の黒字となれば、ここから差し引くことができます。これにより、次の年は200万円の黒字に圧縮することができ、かかってくる税金を抑えることができます。

個人事業主は、事業を始めた年により多くの経費がかかったり、事業が軌道に乗るまで時間がかかったりすることも多いので、赤字を繰り越せるのはありがたい特典といえます。また、もしある年に赤字となった場合で前年も青色申告をしている場合、損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることも可能です。

 

青色申告のその他の特典

他にも、青色申告を選択する事で得られる特典はいくつかあります。

・貸倒引当金の計上

貸倒引当金とは、取引先などが倒産で支払い能力がなくなったときの損失額を見込んで計上するお金のことです。年末の売掛金や貸付金の残高の中から貸倒引当金を繰り入れた時に、必要経費として認められます。白色申告では個別での計上しか認められていませんが、青色申告の場合には一括で計上することができます。

・棚卸資産の低価法の適用

通常、棚卸資産については最終仕入原価法が適用されますが、事前に申請することで低価法を適用することができます。低価法は、12月末日の棚卸資産の時価と取得原価を比べて、低い方を棚卸資産の金額として評価する方法で、在庫の値下がりによる損失を計上することができます。

 

 

以上、青色申告の特典やメリットについて詳しく解説しました。今回紹介したように、青色申告は少しの手間で、多くの特典を得ることができます。これから事業を始める方はもちろん、節税したいと考えている人はぜひとも青色申告を選択して特典を受けましょう。当ブログでは、他にもお金にまつわる記事を多くアップしています。ぜひ併せてご覧になっていってくださいね!

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