みなし相続財産になる代表例!非課税枠・課税関係・注意点をまとめて解説!

みなし相続財産について詳しく解説します。

 

どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。相続にあたって、不動産や預金など財産を評価することになりますが、中には「みなし相続財産」と呼ばれる財産があります。みなし相続財産とは一体どのような財産なのか、また相続税はどのようにかかってくるのか、ぜひとも押さえておきたい基礎知識を交えながら詳しく解説します。

 

 

みなし相続財産とは?

みなし相続財産とは、端的に「遺産分割の対象にはならないけれど、相続税の課税対象にはなる財産」のことを言います。不動産や現預金など普通の相続財産というのは、遺言で定められている場合を除いて、相続人同士で分割することになります。法定相続分で分けるにせよ、話し合いの遺産分割協議で決めるにせよ、いずれにしても遺産分割の対象です。一方、みなし相続財産は、被相続人の財産とはならず、その財産の受取人があらかじめ決められているなど、特定の相続人の固有の財産で、遺産分割の対象にはなりません。遺産分割にはならないみなし相続財産も、相続税は普通の相続財産と同じようにかかるので注意が必要です。

 

 

代表的なみなし相続財産

遺産分割の対象にはならないけれど、相続税がかかる財産と言われても、具体的にどのような財産がみなし相続財産となるのか、なかなかイメージが付きにくいでしょう。今回は、代表的な4つのみなし相続財産について紹介します。ちなみに、今回紹介する以外にも定期金・低額譲渡・信託受益権など、みなし相続財産にあたるものもあります。

 

①死亡保険金

被相続人が自分自身に生命保険をかけており、死亡によって遺族に支払われることになった死亡保険金は、みなし相続財産の代表例です。死亡保険金は、受取人があらかじめ決められています。配偶者が受取人であれば、その保険金は配偶者の固有の財産となり、他の相続人が請求することはできません。つまり、遺産分割の対象にはならないということです。とはいえ、みなし相続財産ですから、相続税の課税対象にもなります。

ただし、死亡保険金については「非課税枠」というものがあります。具体的には、500万円×法定相続人の数までは非課税となります。法定相続人とは、民法で定められた相続人のことを指し、配偶者と子2人がいる場合には、1,500万円までが非課税です。被相続人の死亡によって支払われる死亡保険金が非課税枠以内であれば相続税はかかりません。生命保険が複数あり、各人のもらった分をまとめると非課税枠を超えてしまう場合には、もらった額に応じて非課税となる額を按分することとなります。

 

②死亡退職金

死亡保険金と同じような取り扱いとなっているのが、被相続人が勤めていた会社から支払われる死亡退職金です。死亡退職金は、本来であれば被相続人が退職する際にもらうはずだったお金で、被相続人の死亡によって配偶者などに支払われます。この死亡退職金は、本来は被相続人がもらうはずだったものなので、相続税の課税対象になります。しかし、受取人の固有の財産となるため、遺産分割の対象にはなりません。

実はこの死亡退職金についても、死亡保険金と同様に「非課税枠」が存在します。非課税となる金額は死亡保険金と同じく、500万円×法定相続人の数までとなります。なお、死亡後3年以内に金額が確定した死亡退職金がみなし相続財産として相続税の課税対象となり、3年を超える場合には遺族の一時所得として所得税が課されることとなります。

 

③相続開始前3年以内の贈与

みなし相続財産と言った場合、死亡保険金や死亡退職金が代表的ですが、それ以外にもいくつかの種類があります。ぜひとも押さえておきたいのが、相続開始前3年以内の贈与についてです。多額の財産があって相続税がたくさん課せられる可能性があるケースでは、生前贈与を行う人もいるでしょう。暦年課税の非課税枠を活用しながら、毎年少しずつ財産を移せば、相続税の負担を軽くすることができます。しかしながら、相続開始前3年以内の贈与については、亡くなった時の財産に再度組み入れて相続税を納めることになります。ただ、贈与自体が無効になる訳ではないので、すでに渡した財産はその人のものになります。したがって、遺産分割の対象になる財産ではありませんが、相続税の課税対象となる財産ということになり、みなし相続財産といえます。

 

④名義保険

名義保険とは、相続人が契約者・被保険者となってはいるものの、実際の保険料を負担していたのは被相続人であるような保険です。生前、相続人にお金を渡して保険料を払っていたケースや、内緒で被相続人が支払っていたケースなどがあります。この名義保険は、実際に保険料を負担していたのが被相続人であるため、被相続人の財産として相続税が課されます。しかし、契約者のものでもあるため、原則として遺産分割の対象にはなりません。この点で、みなし相続財産の一種といえます。

名義保険は、相続税を回避するための方法として、名義預金と同じように活用している人もいますが、実際には税務調査などでバレるケースが増えています。実際に保険料を負担していた人が被相続人であれば、相続税の対象となるので、忘れずに申告することが大切です。

 

 

みなし相続財産の注意点

みなし相続財産を理解するうえで押さえておきたい注意点を2つ紹介します。

・相続放棄とは関係がない

借金があるなどを理由に遺産をもらわない「相続放棄」の選択肢があることは知られていますが、今回紹介した死亡保険金などのみなし相続財産は、この相続放棄とは関係がありません。受取人固有の財産となるので、仮に相続放棄を選択したとしても受け取ることができます。ただし、相続放棄をした場合でも、みなし相続財産には相続税がかかるので注意が必要です。

・遺産分割の際にトラブルになる可能性がある

死亡保険金を始めとするみなし相続財産が、遺産分割の際にトラブルにつながることも珍しくありません。死亡保険金は受取人固有の財産であり、遺産分割の対象とはなりません。このため、遺産分割の対象となる財産を法定相続分通りに分けたとしても、最終的にもらう金額で見ると不平等になることがあるのです。極端にアンバランスな場合には特別受益として相続財産に持ち戻すことがあるものの、みなし相続財産が相続人同士の不満を生む可能性もあることを、被相続人は理解しておく必要があると言えるでしょう。

 

以上、みなし相続財産をテーマに詳しく解説しました。みなし相続財産は、相続税の対象にはなってしまいますが、特定の人に財産を残せる手段でもありますので、相続対策にも用いられます。相続において押さえておきたい基礎知識ともいえるので、ぜひ理解しておきましょう。当ブログでは、他にも相続をテーマにした記事や、お金にまつわる記事を多くアップしています。ぜひ併せてご覧になっていってくださいね!

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