建築中の火災は誰が負担するのかについてです。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。日本は災害大国と呼ばれ、雷などの天災や、隣家による火災などに突如見舞われる危険性があります。今住んでいる持ち家が被害を受けたら、当然自分で直す必要がありますが、もし注文住宅などの建築中に被害を受けたら、誰が責任を負うのでしょうか。そこで今回は、いざという時に知っておきたい危険負担について簡単に解説します。
マイホームの建築中に火災に起きたら?
注文住宅などマイホームの建築中は、買主としては完成が楽しみでありますが、この間にも、火災に見舞われる可能性はゼロではありません。建築中に火災が起き、建物が壊れたり無くなったりしてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。この火災が仮に隣家を原因とするものである場合、責任は施工会社にも買主にもないことになります。一見すると、隣家に原因があるのだから…と考えたくなりますが、火災の多い日本では失火責任法により、重大な過失がない限りは火元となった人が損害賠償責任を負う必要は無いとされています。
そこで気になるのが、もしその火災で建物が滅失してしまった場合、誰が負担することになるのか、ということです。施工会社が悪いわけではないし、当然買主にも責任はない。でも、誰かが負担しなければ先に進まない。さらに、買主がお金を支払わなければならないのかどうか、と不安に思う方も結構いるでしょう。確かに、既に契約を結んでいる訳ですし、買主の購入したものが滅失したのだから買主が負担しなくてはならないのか、と思えてしまいます。こうした議論のことを「危険負担」といい、よく問題になります。
危険負担とは?
危険負担とは、売買契約の成立後に、どちらの責めにも帰すことができない理由で、目的物が滅失した場合、そのリスクをどちらが負担するか、という問題のことです。まさに、建築中の建物が火災に見舞われた場合、施工会社と買主とどちらが負担することになるのか、という問題でよく話題にされます。以前の民法では、長らく買主が負担することとされていました。不動産取引については債権者主義であり、買主が負うこととされていたのです。しかし、引き渡しも受けていないのにそれではあまりに不公平過ぎるということで、不動産取引の実務上、売主がこれを負担するとする特約を設けることが通例とされてきました。
どちらの責めにも帰せないケース
隣家の火災や落雷など、どちらの責めにも帰すことができないようなケースでは、2020年の民法の改正により、従来の債権者主義についての規定は撤廃され、買主は代金の支払いを拒絶することができることになっています。債務を消滅させるには契約を解除する必要があるものの、滅失した目的物に対してお金を支払う必要はありません。これまでの民法でも、結局のところ実務上は、買主が負担することはなかったわけですから、改正によって大きな変更はない訳ですが。施工会社が加入している保険などで、修理代や建て直しの代金をカバーするのが普通です。とはいえ、大きな買い物ですから、心配な場合には、必ず事前に確認するようにしましょう。
ちなみに、ケースとしては稀ですが、買主が故意に放火するということも考えられます。当然ですが、この場合には原因となった方が責任を負うことになります。つまり、代金の支払いを拒絶することはできません。そもそもそんなことが起きたら、犯罪に問われる訳ですけれども。
引越し前に火災が起きたケース
すでに引き渡しは済んでいるけれど、まだ引越しを済ませていないタイミングで火事に遭った場合はどうでしょう。この場合、火災などで仮に建物が滅失したら、その負担は買主が負わなくてはなりません。引き渡しと支払いが完了している以上、引越しのタイミングに関わらず、買主が所有者となっているためです。自身で加入する火災保険や地震保険でカバーする必要があります。
以上、マイホームの建築中に火災などで建物が滅失した場合の負担について解説しました。まだ建物の引き渡しを受けていなければ、買主は支払いを拒絶することができます。これなら安心して、大きな買い物もすることができますね。ただし、引渡し後の天災や火災に備えるよう、早い内から保険の加入も検討するようにしたいものです。当ブログでは、他にも不動産や保険など、お金にまつわる記事を多くアップしています。ぜひ併せてご覧になっていってくださいね!