退職金は一時金と年金形式、どちらが得? ケース別のオススメ

退職金は一時金と年金形式、どちらを選択した方がお得か?の記事です。

どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。定年が引き延ばされている昨今、退職金は老後資金として有用な資金の一つです。そんな退職金ですが、一時金でもらうか年金形式でもらうかは多くの人が悩むポイントでもあります。そこで今回は、退職金は一時金でもらうべきか年金形式でもらうべきかについて、それぞれのケースごとに紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

 

退職金をもらえる企業は減っている!

最近では、退職金制度を導入していない企業も増えてきています。数にして4分の1の企業が退職金を導入していないと言われています。それでも4分の3の企業では退職金制度を採用しており、平均で2000万円もらえる企業も多いようです。一方で、人生100年時代と呼ばれるほどに老後にかかるお金は大きくなってきています。退職金は、老後の生活を支えるための大事な資金なので、無駄にしないよう計画的に活用したいものです。

そんな退職金は、退職する際に一時金としてもらうか、年金形式でもらうかを選択することができます。一時金を選択すると、一括でまとめてもらえます。また年金形式を選択すると、分割で長期にわたってもらうことができます。それぞれに一長一短あるので、メリットとデメリットをよく理解したうえで、自分に合ったものを選択しましょう。

 

 

退職金を一時金でもらう場合

退職金を一時金で受け取った場合のメリットとデメリットについて、紹介します。

 

メリット

・まとまったお金を利用する場面に重宝する

一時金でもらうことで、まとまったお金を使いたいときに便利です。たとえば、老後に備えた一括払いの保険料・住宅ローンの返済・子供や孫への贈与・夫婦での海外旅行資金・第二の人生(セカンドライフ)への投資など、退職後に使うお金は様々です。このようなまとまってかかるお金がある場合には、一括でもらって活用するのも良いでしょう。

・税金や社会保険料を抑えられる

退職金を一時金でもらう大きなメリットは、税制で優遇されている点です。退職所得控除が用意されており、勤続年数が20年以下で「勤続年数×40万円」が、勤続年数が20年超で「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」が控除されます。仮に30年間勤めた会社なら、1500万円までが非課税となります。さらに退職金から控除額を差し引いた分を2分の1にしたものが課税対象となりますので、一括で受け取るとかなり多くの税金を抑えることができます。年金形式にすると、毎年所得がアップして社会保険料が増えてしまうので、まとめて受け取ると優遇を受けられるでしょう。

 

デメリット

・計画性がないと使い果たす可能性がある

退職金を一時金でもらってしまうと、お金に計画性のない人は使い果たしてしまう可能性があります。退職金は老後の資金としてとても貴重な資本ですから、まとまって使う予定がないなら貯金しておくか、年金形式でもらった方がうまく使えるかもしれません。

・もらえる総額は年金形式よりも少ない可能性がある

年金形式で受け取る場合は、一括で受け取るよりも多くの期間で運用できるため、少しだけ多くもらうことができる可能性があります。税制の優遇などを考慮すると、必ずしも手元に残る分が多くなるかどうかは微妙ですが、とりあえず自己資金に余裕があって急いでもらう必要がないのなら年金形式でもらうという選択肢も視野に入るでしょう。

 

 

退職金を年金形式でもらう場合

退職金を年金形式で受け取った場合のメリットとデメリットについて、紹介します。

 

メリット

・運用率が上乗せされてもらえる

年金形式を選択する理由として多いのが、一括で受け取るよりも少しだけ多くもらえることです。年金を受け取っている間も退職金は運用されているため、およそ1~2%程度上乗せが期待できます。低金利で銀行に預けてもお金が増えない昨今では、この運用率を魅力に感じて選択する人が多いようです。ただし、退職所得控除など税制のメリットを考えると一時金の方がかえってお得になることもあるので、よく吟味する必要があります。

・定期的な安定収入として使える

一時金で大金を受け取ってしまうと自分で管理しなくてはなりませんが、年金形式を選択すれば、継続して収入に上乗せされます。年金などと合わせて定期的な安定収入として考えられるので、老後に備えた一つの選択肢ともいえるでしょう。

 

デメリット

・非課税の恩恵を受けられない

年金形式では、一時金よりももらえるお金は増えるように見えます。しかし、実際には一時金には税制優遇があり、手元に残るお金として考えると一概にどちらが良いかは難しいところです。非課税の恩恵を受けることが出来ないため、人によっては年金形式の方が損をする可能性もあります。

・所得と合算して社会保険料がアップする可能性がある

年金形式で受け取ると、雑所得としてその年の給与や年金と合算して課税されます。もし退職後も、アルバイトなどで所得がある場合には、収入が大きくなり、かえって所得税や住民税、社会保険料などがアップしてしまう可能性があります。運用率次第ですが、必ずしも年金でもらう方がお得とは言い切れません。

 

 

ケース別、退職金のもらい方

退職金は、一時金が良いか年金形式が良いか、一概に言えることではありません。人それぞれ事情があると思うので、自分に合ったものを選択しましょう。ここではいくつかのケースを紹介します。

・住宅ローンが残っているケース

住宅ローンが残っている場合は、できるだけ繰り上げ返済をして支払う利息を減らしたいもの。なので、退職金を一時金でまとめてもらって、繰り上げ返済に充てるのが良いでしょう。確かに年金形式でもらえばその分もらえる額は増えるかもしれませんが、住宅ローンの利息の方が大きい場合が多いので、早めに返済した方がトータルで得になります。なお、住宅ローン減税の最中だったり返済期間がもう僅かだったりする場合はその限りではないので、お得かどうかよく見極めましょう。

・少しでもお金を増やしたいケース

一般に、退職金を一括でもらうよりも分割でもらう方がお得ですが、一括でまとめてもらって資産運用をするという手もあります。年金形式でもらうことで得られる恩恵は、運用率1~2%と言われています。一時金でもらえば節税効果も大きいですし、株式投資や投資信託などで利回り3%以上を狙えれば、分割でもらうよりもより多くのお金にすることができます。

・退職後も働く予定のケース

退職後も働くケースでは、退職金を年金形式でもらってしまうと毎年の所得が大きくなり、多くの税金や保険料がかかってしまう可能性があります。それよりもむしろ、税金で有利な一時金で退職金をもらっておく方が得になります。一括でもらうと使い果たしてしまう危険性はありますが、預金をしたり資産運用をしたりすることで、将来に備えることができます。

 

以上、退職金を一括でもらうか分割でもらうかについての紹介でした。ケースごとに適している受け取り方法が異なるので、自分のライフデザインに合わせて選択するようにしましょう。

2件のコメント

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です