相続人以外の特別寄与料について紹介します。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。最近注目を集めているのが、40年ぶりの改正となった相続法分野です。相続は大きなお金が動くタイミングでもあり、決して他人ごとではありません。特に改正によって大きく変わるのが「特別寄与料」という考え方です。言葉自体、あまり馴染みのない人も多いかも知れませんね。そこで今回は、40年ぶりの改正となる相続税についてと、その中でも要注目の「特別寄与料」についてザックリ紹介します。実際に、特別寄与料をもらえる可能性のある立場の人や、そもそも特別寄与料って何?という人の参考になれば嬉しいです。
40年ぶりに相続法分野が改正!
2018年7月に民本の相続法分野の改正が成立し、2019年以降新しいルールの多くが施行されます。これまでの相続法ではカバーしきれなかった様々な相続トラブルを背景に、40年ぶりにルールが変わることとなります。具体的に押さえておきたいのは、以下の6点です。
・配偶者は自宅に住み続けることができる配偶者居住権の新設
・相続人以外の貢献を考慮した特別寄与料の新設
・婚姻期間20年以上の風での贈与は特別受益せず遺産分割の対象外
・自筆証書遺言の財産目録はPC作成も可&法務局への保管制度を創設
・これまでは死亡後凍結されていた被相続人の預貯金口座が一部払い戻し可能
・遺留分侵害額の請求方法が金銭に変更
特別寄与料とは?
特別寄与料とは、相続人以外の者が、被相続人の生前に介護などで特別な寄与をしていた際に請求できる金銭のことです。そもそも、これまでも寄与分という考え方は存在しました。たとえば、兄弟二人が財産を相続することになり、兄は親の介護は一切せず、弟は親の介護を献身的に行っていた場合。介護にかかった費用や生前に貢献した分だけ、財産を多くもらえるというものです。しかし、これまでの寄与分の考え方はあくまで相続人のみに限定されていました。
改定により特別寄与料の請求が可能に!
これまでは相続人のみを対象としてた寄与分ですが、実際は、血縁関係のない義理の子などが介護しているケースも多くありました。介護をしていたのに血縁関係がなく相続人でないからという理由で寄与分が認められないのはおかしい、と不満やトラブルのもととなっていたわけです。そこで今回の法改正では、相続人以外の特別寄与分も認めようと明記されました。これにより、これまでは介護をしていても見返りがなく相続トラブルとなっていたようなケースでも、特別寄与料の請求が認められることになり、例えば義父母の介護をしていた嫁などが金銭的に報われることとなったのです。
また、この法改正がされた背景には、昨今の「おひとり様」事情が絡んでいるとされています。最近は結婚しない人や子供のいない人も増えており、兄弟の子供(おいやめい)に世話になるケースも多くなっています。こうした立場にある人も以前は特別寄与分が認められていませんでしたが、この法改正によって請求できる権利が得られることになります。適切な表現かどうかは分かりませんが、この法改正によって、今まで敬遠されていた身内の介護も少しだけ進むかもしれませんね。
特別寄与料に関する注意点
・親族でない人は認められない
特別寄与料の新設に伴い、相続人以外でも認められるようになりましたが、あくまでその対象は親族に限られます。親族とは、6親等以内の血族と3親等以内の姻族のことで、死亡した人のこの妻やおいやめいなども対象になります。ただし、近所の人や友人などは対象にはならないので注意が必要です。
・遺産を残すためには不確実性が高い
法改正がされたばかりで、どのような条件で特別寄与料が認められるのか、どれだけの金額を請求できるのかは明確になっていません。そのため、例えば介護をしてくれた人に遺産を残そうとしても実際には不確実性が高いのが現状です。より確実性の高い生命保険や遺言書を活用して、相続人ではないけれど自身を介護してくれた人にお金を残す方法も検討しましょう。
以上、相続法の改正に伴う特別寄与料について紹介しました。ぜひ、将来介護してくれた人に残したい人や、自分が介護していていつか報われるのか?と思っている人の救いになる制度であることを期待したいですね。