個人事業主がアルバイトした時のことについて紹介します。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。私は以前、個人事業主として学習塾を運営していましたが、業務が午後メインだったため、午前中にアルバイトをしていました。つまり、自営業を本業とする傍ら、副業としてアルバイトをしていたのです。そこで今回は、その経験をもとに、自営業者がアルバイトをする際の確定申告や税金について紹介します。
個人事業主はアルバイトをしても良い?
個人事業主などの自営業者でも、他のアルバイトをしても何ら問題はありません。私のように、本業の空き時間に副業としてアルバイトをしたり、友人の会社でお手伝いとして働いていたりする人も意外に多いのではないでしょうか。実際、手取り額を増やしたり空き時間を有効活用したりとメリットもありますからね。個人事業主がアルバイトすることは全く問題ないのですが、心配に思うことがいくつかあることと思います。
・アルバイトで得た給与の所得税はどうなるのか?
・アルバイトで得た給与は、事業の収入に計上するのか?
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
個人事業主がアルバイトした時の確定申告
個人事業主がアルバイトをした場合、確定申告の際にその給与も合わせて申告します。この時、個人事業で得た収入は事業収入、アルバイトで得た給料は給与収入に分類されます。つまり、所得の分類が異なり、数字を記入する欄も違うんですね。そして、確定申告の際にはそれぞれの分類ごとに、経費や控除などを差し引くことができます。事業収入の場合、事業で得た収入から経費を差し引き、青色申告特別控除などを差し引いたものが「事業所得」です。一方で給与収入の場合、アルバイト先で得た給与から給与控除を差し引いたものが「給与所得」になります。そして、他の雑所得など全ての所得を合算した後、課税所得を算出し、そこに対して所得税が発生するのが基本的な考え方です。
つまり、個人事業主がアルバイトをしても、確定申告の際に一つ手順が増えるくらいで、あとは所得を合算してそこに対して所得税が発生するだけです。特別ややこしいという訳ではないので、個人事業主でも心配なくアルバイトすることができます。また、給与収入に対しては全ての人に一律で「65万円の給与所得控除」が用意されています。これは、事業収入だけある人は使えないもので、給与収入がある人は65万円までなら課税所得にカウントしませんよという特典です。つまり、65万円までなら給与収入を所得として合算する必要がないのです(この特典によって給与の課税所得が0になる場合でも確定申告をする必要はあります)。本来、所得が増えるほど所得税は増えますが、事業所得と給与所得は別枠のため、事業所得がかなりある人でも、給与収入の65万円までは無かったことにできます。個人事業主は給与所得控除をうまく活用することでお得にアルバイトすることができるのです。
個人事業者がアルバイトする時の注意点
・源泉徴収票は確定申告に使う
個人事業主は、アルバイト先で年末調整が行われたとしても、最終的に確定申告を自分で行わなくてはなりません。その際には、アルバイト先でもらった源泉徴収票が必要となります。源泉徴収票をもらったら、確定申告を行うまで大事に保管しておきましょう。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書は提出しなくても良い
アルバイト先から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出を求められますが、自営業者の場合はこの提出をしてもしなくても大丈夫です。提出をしないと、源泉徴収される額が大きくなりますが、確定申告などで最終的に支払う所得税は同じになるため、提出の有無によって変わりはありません。
・アルバイトの給与は、個人事業の収入に計上しない
アルバイトでもらった給与は、給与所得に分類されます。一方、個人事業として稼いだ収入は事業所得に分類されます。所得の種類が違うので、一緒にしてはいけません。ややこしくなるので、アルバイトをして得た給与は、個人事業の財布を通さないように注意しましょう。ただし、業務委託や報酬など本業に関するものとして得た収入はその限りではありません。
・65万円までなら副業として有効
このように見てくると、誰にでも給与所得控除は設定されているため、自営業者で副業をしたい場合に、65万円までのアルバイトをして手取りを上げるというのは有効といえるでしょう。65万円というと月に5万程度なので、個人事業が休みの日にアルバイトをしたり、年に数回だけ短期のアルバイトを行うのも良いかも知れません。
以上、個人事業主のアルバイトについて紹介しました。実際私も、個人事業をしながらアルバイトをしていました。事業収入に関わらず、65万円までは給与収入をないことにできるので、見方によってはお得です。個人事業主がアルバイトして良いの?と心配している方は、ぜひこの特典をうまく利用して、賢く手取り額を上げましょう。
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