【FP対策】4つの利回りの計算は、公式ではなく理論で覚えろ!

FP試験で頻出の4つの利回り計算について紹介します。

どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。FP試験の勉強を進める上で、つまずきやすい項目の一つに「利回り計算」があります。債券を購入したことがある人はイメージがつかみやすいですが、金融資産に触ったことがない人はよく分からないところかと思います。しかも、その利回りの計算式が4つのもあり、ほとんどの試験で出題されていることから、頭を抱える人が多いところです。そこで今回は、4つの利回りの計算について簡単な覚え方を紹介します。基本は、公式を丸暗記するのではなく、理論を覚えよう!ということで進めていきます。

 

まずは債券の用語を覚えよう!

債券の利回りの計算は、初めてFPの勉強をする人にとってはかなりの難関です。ですが、基本を押さえてしまえば、比較的どんな問題にも対応することができます。その第一歩として、まずは債券の計算で登場する言葉を覚えましょう。

・表面利率

表面利率とは、この債券を購入すると、額面金額に対して1年あたりどれだけの利息がもらえるかを表します。クーポンレートとも呼ばれ、つまるところが購入することで得られるボーナスのようなものです。

・額面

額面とは、その債券を満期まで持っていた場合に戻ってくる金額のことです。その金額が保証されているということですね。発行価格や購入金額が額面を上回っていれば、高値で買ったことになるので損失。逆に発行価格や購入金額が額面より下回っていれば、安値で買ったことになるので利益になります。FP試験では、100円を額面としていることが多いです。

・償還年限/残存期間/所有期間

償還年限とは、応募者利回りを計算する時に使うもので償還(つまり満期を迎える)までの期間のことを指します。残存期間は、最終利回りを計算する時に使うもので、償還までの期間のことを指します。既に取引されているものを買ったケースにあたるので、償還年限とは言わずに残存期間と言います。そして、所有期間は償還まで保有せずに途中で売却した場合の、持っていた期間のことを言います。これら3つの言葉は、スタートとゴールが違うだけで、いずれも「保有していた期間」のことを表します。

 

 

利回り計算のコツ

・分数の計算は「上÷下」で解く

利回りの計算の公式を見ると、実に複雑な公式のように思えます。分数の中に分数があるからですね。そこで小学生の時に戻って、分数の計算の仕方を改めておさらいします。分数は、「分子÷分母」で計算することができます。もっと簡単に言うと「上÷下」です。分数を忘れてしまった人は、これを覚えていくだけでグッと計算しやすくなります。ただ、公式を丸暗記しただけでは、本当にあっているのか?という自信が持てないと思うので、利回り計算の仕組みをきっちり覚えていきましょう。

・利回りは1年間を単位とする

そもそも利回りの計算とは、1年あたりにどれだけ得られるかを表したものです。表面利率は、1年を単位としているのでそのまま計算に使えます。一方で、取得に伴う損益の計算は、1年あたりに直してあげなければなりません。たとえば額面よりも6円安く買えた残存期間が3年の債券は、1年あたりの利益が2円ということになります。

表面利率=そのまま計算に使える
取得に伴う損益=1年あたりに直してあげる必要がある

 

 

「債券を持つことで得られた利益÷購入価格」で完璧!

断言します。4つの公式を覚える必要はありません!! ただ一つの理論だけを覚えればすべてに対応できます。債券の利回りの計算の基本は、「債券を持つことで得られた利益÷購入価格」で4つの利回り計算すべて表せます。「債券を持つことで得られた利益」とは、「表面利率」と「取得に伴う損益」を指します。たとえば、2%の表面利率の債券を103円で購入した場合、表面利率は「2÷103」で「1.942…%」ということになります。ただ、利回りの計算が複雑なのは、表面利率による利益だけでなく、取得に伴う損益の計算があるためです。つまり、債券を額面より安く買えたのならその分を1年あたりに直して利回りの計算に算入する必要があるのです。

たとえば、今の債券の額面が100円で残存期間があと3年あるとします。すると、103円で取得したのが100円で償還されるため取得に伴うマイナスが3円生じていることになります。残存期間が残り3年ですから、「-3円÷3年」をして、1年あたりの取得に伴うマイナスは「-1円」ということになります。これを表面利率と合算すると「1.942-1」ということになり、利回りは「0.942%」ということになるわけです。このように、表面利率だけでなく、取得に伴う損益も計算に入れることを忘れないようにしましょう。

 

①直接利回り

直接利回りとは、購入金額に対して毎年いくらの利息があるのかを表したものです。4つの利回りの中ではもっとも計算がシンプルで、FP試験に出題されたらかなりラッキーです。計算式は、「表面利率÷購入金額」をするだけなので、とても簡単ですね。

 

②応募者利回り

応募者利回りとは、新しく発行された債券を購入して、償還期限まで保有した場合の利回りのことです。つまり、スタートから保有してゴールまで持っていた場合の利回りということになります。計算式には分数の中に分数という複雑な感じがしますが、理論を覚えていればそう難しくありません。利益となるのが「表面利率」と「取得に伴う損益」でしたね。取得に伴う損益は、ここでは「額面-発行価格」になります。100円の額面に対して、99円で買えたらプラスですし、101円で買えたらマイナスというわけです。そして、これを償還年限で割って、1年あたりに換算します。表面利率と取得に伴う損益を合わせたものを、最後に発行価格で割ります。そして100倍したものが応募者利回りという訳です。

 

③最終利回り

最終利回りとは、すでに市場で取引されている債券を購入し、償還期限まで保有した場合の利回りです。簡単に言うなら、参加は途中からだけどゴールは最後まで、というイメージです。最終利回りの計算についても、応募者利回りの計算と大差ありません。まずは「表面利率」と「取得に伴う損益」を足します。取得に伴う損益は、「額面-購入価格」で計算でき、それを1年あたりに直すために残存期間で割ります。額面100円の債券を97円で購入出来たら、利益は3円ですが、残存期間が3年あるとしたら、1年あたりの利益は1円ということになりますね。そして、表面利率と取得に伴う損益を足したものを購入価格で割り、100をかければ利回りが出ます。

 

④所有期間利回り

所有期間利回りとは、購入した債券を償還期限まで保有せずに途中で売却した場合の利回りです。イメージとしては、スタートはどこでも良いけど、ゴールまで行かずに途中で売っちゃうよ、という感じです。所有期間利回りも基本的には、応募者利回りや最終利回りと同じですが、「額面」を用いない点が注意です。なぜなら、最後まで保有したいため額面を得られないため。今回は額面の代わりに「売却価格」を使います。まずは「表面利率」と「取得に伴う損益」を出します。「取得に伴う損益」は「売却価格-購入価格」で算出できますね。あとは同じ流れで、これを所有期間で割って1年あたりの利益を割り出し、表面利率と足して、最後に購入価格で割って100をかけます。

なお、動画でも計算の手順を解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

以上、債券の利回り計算について紹介しました。基本はすべて「(表面利率+取得に伴う損益)÷購入価格」で計算することができます。ぜひ理論を覚えて、FP試験にのぞみましょう! 当ブログでは、ほかにもFP試験を受ける人向けに記事を多くアップしています。合わせてご覧になっていってくださいね!

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2件のコメント

  1. FP受験に当たって、中々利回り計算の公式が覚えられず困っていたときに、こちらの記事にたどり着きました。
    式の意味を分かりやすく解説頂き、お陰さまでしっかり覚えることができました。
    ありがとうございました!

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