【FP対策】所得控除と税額控除の違いとは? 主な控除の一覧

所得控除と税額控除の違いについて紹介します。

どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。確定申告やFPの学習をするにあたり、「所得控除」「税額控除」という2種類の控除の違いに困ったことはありませんか。そこで今回は、この所得控除と税額控除の違いについて詳しく紹介します。また、それぞれに該当する主な控除の種類をまとめたので参考にしてみてください。

 

所得税の計算体系を考える

所得控除と税額控除の違いを考える上で、所得税を計算する流れを把握することが大切です。確定申告時などで所得税を計算する際、大まかに次のような流れになります。

①各種所得金額を割り出す
②損益通算できるものは行う
③総所得金額を出す
④所得から所得控除を差し引く
⑤課税所得を割り出す
⑥税率をかけて税額を求める
⑦税額控除を差し引く
⑧申告納税額が決定

以上の手順を見てお分かりの通り、「所得控除」は所得金額を出したタイミングで、「税額控除」は税額を出したタイミングで、それぞれ差し引かれています。所得控除と税額控除がそれぞれ、どのような特徴を持ち、どのような控除が該当するのかを見ていきましょう。

 

 

所得控除とは?

所得控除とは、所得金額から差し引くことのできるものを指します。ザックリとしたイメージですが、売上や収入に対する「必要経費」のような考え方です。たとえば、所得は300万円だけど、社会保険料として30万支払っていて、実際の手取りは270万円なんてこともありますよね。それなのに300万円に対して税金がかかってくると税負担が大きくなりすぎるので、社会保険料として支払っている部分には課税しませんよ、といった具合です。これらの所得控除は、実際に税金の対象となる課税所得を引き下げる役割を持つので、活用することで納める所得税を少なくすることができます。

 

主な所得控除

所得控除には、10を超える種類がありますが、今回はその中から特に覚えておきたい主な所得控除をいくつか紹介します。

・医療費控除

医療費控除は、本人または本人と生計を一にする配偶者や親族が年間に一定額以上の医療費を支払った場合に受けられる控除です。医療費の総額が、10万円または総所得金額の5%を超える場合に控除を受けられます。また、セルフメディケーション推進のためのスイッチOTC薬控除も設定されていて、年間で支払ったスイッチOTC薬購入費が12,000円を超える場合に控除の対象です。

・社会保険料控除

健康保険料や厚生年金保険料、国民年金保険料、雇用保険料などの社会保険料として支払った全額が控除できます。サラリーマンは会社が手続きしてくれますが、確定申告をする場合にはこれらの証明書を添付する必要があります。

・生命保険料控除

生命保険料控除は、平成24年以後に締結した新契約にかかる控除と、平成23年以前に締結した旧契約にかかる控除とで、控除額が異なります。新契約は、一般生命保険料控除・個人年金保険料控除・介護医療保険料控除でそれぞれ最高4万円、合計で最大12万円が控除できます。旧契約は、一般生命保険料控除(介護医療保険料控除を含む)と個人年金保険料控除でそれぞれ最高5万円、合計で最大10万円が控除できます。

・地震保険料控除

地震保険と言えば、火災保険に付帯して加入することができるもの。火災保険は現在、一部のものを除いては所得控除の対象となっていませんが、地震保険は控除の対象となっています。なお、最高5万円までが控除されます。

・配偶者控除

配偶者のその年の合計所得金額が、38万円以下の場合に受けられるのが配偶者控除です。なお、全ての人に給与所得控除が用意されているので、パートなどをしている配偶者の場合には、給与収入が103万円以下である場合が対象です。配偶者控除では、38万円が控除されます。

・配偶者特別控除

配偶者控除と名前が似ていて混同しがちですが、配偶者特別控除も配偶者の収入に応じて受けられる控除です。納税者本人の合計所得金額が1000万円以下で、配偶者の所得金額が38万円超76万円未満(給与所得の場合は、103万円超141万円未満)である場合に、配偶者控除よりも少ない額の控除が段階的に用意されています。

・扶養控除

控除対象扶養親族(配偶者以外の16歳以上の親族で、所得金額が38万円以下である親族)がいる場合に受けられる控除です。控除額は年齢などによって細かく定められています。通常は38万円ですが、19歳以上23歳未満(特定扶養親族)で63万円、70歳以上(老人扶養親族)で48万円、本人か配偶者の同居している老人の直系尊属(同居老親等)で58万円と設定されています。

・基礎控除

納税者の収入に関わらず、全ての人に一律38万円の控除が用意されています。

 

 

税額控除とは?

税額控除は、計算を行って割り出した税額から差し引くことのできるものを指します。税金から直接減額することになるので、所得控除に比べるとお得度が高いです。その代わり、所得控除に比べて、税額控除の対象となる人は限られてきます。

 

主な税額控除

主な税額控除として、押さえておきたい3つのものを紹介します。これ以外にも税額控除はいくつかありますが、FPの試験を受ける上ではこれだけ覚えておけば問題ないでしょう。

・配当控除

株などで得た配当所得は、配当控除の対象となります。ただし、申告分離課税を選択した場合などは対象外となるので、使えるケースは限られてきます。特に株の配当などでは、配当控除を利用するためには総合課税を選択する必要があり、所得によってはかえって損をすることもあるので注意が必要です。

・外国税額控除

外国人に対して、国際的な二重課税を防ぐ目的で、外国で納めた税金を差し引くのが外国税額控除です。2つ以上の国で課税されると、税金を多く納めすぎになるため、それを改善する目的で設定されています。

・住宅借入金等特別控除

住宅借入金等特別控除とは、またの名を「住宅ローン減税」と言います。住宅ローンを利用して家を購入した場合に、10年間にわたって控除できる特典です。適用には条件がありますが、床面積の2分の1以上が居住用の50㎡以上のところで、所得が3000万円以下の人が対象です。具体的な控除額は、年末借入金残高の1%で、最高控除額は40万円までとなっています。4000万円を超える住宅を住宅ローンで購入した場合、その年から10年間は毎年40万円近い税額控除が受けられるため、かなりお得度の高い制度といえます。なお、この特典を利用するには、サラリーマンであっても最初の年は確定申告する必要があります。

 

 

ふるさと納税は所得控除と税額控除のどちらか?

好きな自治体に寄付をして、返礼品をもらうことができることから人気を集めている「ふるさと納税」。ふるさと納税は、税金面でのメリットがあることで知られていますが、所得控除と税額控除のどちらに当たるのでしょうか。結論から言えば、所得税でいえば、ふるさと納税は「寄付金控除」に該当し、所得控除にあたります。寄付金から2000円を差し引いたもの金額を、所得から引くことができます。一方で、住民税の側面から見ると税額控除となっているので、やや複雑と言えるでしょう。

 

以上、所得控除と税額控除について詳しく紹介しました。どちらも税金を抑えるために重要なポイントです。これから確定申告をする人はもちろん、FP試験を控えている人や税金をお得にしたい人はぜひ覚えておいて損はないでしょう。

3件のコメント

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です