【FP解説】歯科矯正やタクシー代は? 医療費控除の対象まとめ

医療費控除の対象になるものについて紹介します。

どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。突然ですが皆さんは、年間でどれくらい医療費に費やしていますか? もしあなたや生計を一にする家族を合わせて、年間10万円以上使っている場合は「医療費控除」を活用することで還付金が戻ってくる可能性があります。そこで今回は、医療費控除の基本についてと、医療費控除の対象になるものとならないものをまとめてみたいと思います。この記事を読めば、医療費控除について分かると思いますので、これから活用したい人やFP試験を目指している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!

 

医療費控除とは?

医療費控除とは、納税者本人や本人と生計を一にする配偶者その他家族のために年間、一定額以上の医療費を支払った場合に適用を受けられるものです。医療費が家計の負担を圧迫してはならないということで、払いすぎた部分は所得から控除して、還付金として戻しますよという制度ですね。離れて暮らしていても、仕送りをしている大学生や単身赴任の夫なども対象になります。2018年以降は、領収書やレシートなどの提出が不要となりましたが、確定申告で計算をする際に必要ですし、さかのぼって調査されることもあるので少なくとも5年は保管しておくようにしましょう。医療費控除額は、

「(医療費の総額ー給付金などでの補填)-【10万円】または【総所得金額×5%】のいずれか低い方」

となっています。医療費控除は通常10万円を超えた部分ですが、総所得が200万円以下の場合には、「総所得金額×5%」を超えた部分という形です。なお、10万円を超えた部分がすべて還付される訳ではなく、ほかの所得などに応じて還付金が決定ます。

 

セルフメディケーション推進のためのスイッチOTC薬控除

医療費控除と並べて覚えておきたいのが「セルフメディケーション税制」といわれる控除です。こちらは薬局で買える薬を対象とした、医療費控除の特例です。通常の医療費控除とは併用できず、どちらかを選択して適用を受けることとなります。スイッチOTC薬とは、従来お医者さんが処方していた薬を薬局で買えるようになったものを指します。セルフメディケーション税制の控除額は、

「スイッチOTC薬購入費の総額-12,000円」

となっています。スイッチOTC薬購入費の上限は年間10万円までとなっているので、こちらの控除は最大で88,000円です。病院にはあまり通わないけど、市販の薬を常に服用しているケースなど、医薬品にかけているお金が多い人向けの制度といえますね。

 

 

医療費控除の対象になるもの

医療費控除の対象となるものは、主に以下の項目です。これらに該当するものは、レシートを保管しておいたり、その都度記録しておくなどして、1年間に使った金額を計算しておきましょう。

・診療や治療の対価

病院やクリニックでの診療や治療などにかかったお金が対象です。なお、健康保険などで3割負担となっている場合、保険適用後の3割負担の金額が医療費として計上できます。

・医師の診療を受けるための通常必要な医療用器具

治療のために購入した自宅用の医療用器具や、入れ歯、松葉づえなども対象になります。治療を目的としているものであれば、医療費控除の対象と考えて良いでしょう。

・薬事法に規定する医薬品

医師からもらう処方せんはもちろん、治療を目的としたものであれば市販の医薬品でも医療費控除の対象となります。医薬品が医療費の大半を占めているようなケースでは、セルフメディケーション税制を活用した方がお得になることもあります。

・妊娠と診断されてからの定期検診や検査費用

通常、健康診断や検査などは医療費控除の対象外ですが、妊娠と診断されてから行うものについては対象です。不妊治療や人工授精にかかる費用も対象となります。

・通院にかかる交通費、緊急時や症状などから見て不可欠な交通費

治療を目的とした通院については、バスや電車などの公共交通機関の交通費も医療費控除の対象として認められます。ただし、自家用車のガソリン代は対象ならないので注意が必要です。また、タクシーは原則として認められませんが、緊急時や公共交通機関では通院が困難な場合などに限り、タクシー代も医療費控除の対象となります。

 

医療費控除の対象にならないもの

医療費控除の対象とはならないものも多くあります。きちんとその違いを理解したうえで、間違った申告をしないように注意しましょう。

・人間ドックや健康診断の費用

人間ドックや健康診断はあくまで治療ではないため認められません。ただし、もしこの健康診断で異常が見つかった場合には、健康診断の費用も含めて医療費控除の対象となります。また、予防接種代も対象外です。

・美容整形費用

美容整形についても、治療を目的としていないために医療費控除の対象にはなりません。歯科矯正についてはラインが難しいですが、治療のためであれば対象で、美容のためであれば対象外です。

・健康増進のためのビタミン剤

健康維持や病気の予防を目的として購入するビタミン剤は、治療を目的としていないため対象外です。

・病気やケガの予防のために購入した医薬品

ビタミン剤と同じ理由で、治療目的ではない医薬品も対象外です。疲労回復を目的としたものも、医療費控除の対象とはなりません。

・通院のための自家用車のガソリン代や駐車料金

通院の際に認められている交通費は、公共交通機関のみです。通院のためであっても、自家用車を利用してもガソリン代や駐車代が、医療費控除の対象となることはありません。

 

 

医療費控除の対象が年間10万を超えたら確定申告を!

このように見てくると、対象になるかならないかのラインは「治療目的かどうか」と言うことが分かりますね。また、タクシー代や健康診断なども、原則は対象外であっても、緊急時や異常が見つかった時などの例外に限り、認められています。これら対象となる医療費が、年間10万円を超える場合には、きちんと記録を残したうえで、確定申告を検討しましょう。10万円を少し超えるぐらいでは還付金もそう大きくありませんが、医療費や所得によっては数万円戻ってくることも珍しくないので、状況に合わせて確定申告をすることをおすすめします。

 

以上、ファイナンシャルプランナーによる医療費控除の解説でした。医療費控除は、特に家族の多い人や持病があって医療費の負担が大きい人にはお得な制度です。ぜひ参考にしてみてくださいね! 当ブログでは、他にもお金にまつわる記事を多くアップしていますので、合わせてご覧になっていってください。

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