おひとりさまが考えたい「死後事務委任契約」とは?
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。突然ですが、皆さんは、自分が亡くなった後の手続きをどうしたら良いか考えたことはありますか。配偶者や子供など身内が居ればその心配はないかも知れませんが、おひとりさまなど身内がいないケースや、頼れる親族がいないケース、内縁の夫婦や同性カップルのケースなど、自分の死後の手続きが心配となるケースは多くあります。そんな時に有用なのが「死後事務委任契約」というものです。一体どのようなものなのでしょうか。そこで今回は、死後事務委任契約について詳しく紹介します。
老後を「おひとりさま」で過ごす人は増えている
近年、急激に増えているのが、老後を「おひとりさま」で過ごす人です。生涯を独身で過ごしている人や、子供がおらず配偶者に先立たれた人を指します。独居老人とも言いますが、一人暮らしの老人は年々、増えているのです。人の生き方は十人十色ですから、おひとりさまで過ごすことに何の異議もありませんが、一方で、おひとりさまが原因による問題もいくつか起きています。
1つが、「孤独死」の問題です。身内がおらず、晩年を一人で過ごしている訳ですから、突然病などに倒れてもなかなか発見しづらいという現状があります。新聞配達や集金などが気付くケースも多いようで、社会問題化しています。もう1つが、「死後の手続き」の問題です。配偶者や子がいれば、死亡届の提出や葬式の準備などをしてもらえますが、おひとりさまだとそれらの手続きをスムーズに行うことが困難になります。そうした死後の手続きの問題を解決するためにあるのが、今回紹介する「死後事務委任契約」というものです。
親も子も配偶者もいない場合、遺産はどうなる?
そもそも、親も子も配偶者もいない「おひとりさま」が死亡した時、遺産はどうなるのでしょうか。基本的に、法定相続人がいるかどうかで対応が変わってきます。本来、法定相続人である子配偶者がいない場合、次点は親ですが、親に先立たれている場合は、兄弟姉妹が法定相続人になります。もしこの兄弟姉妹も死亡している場合は、甥や姪が代襲相続する形になります。しかし、一人っ子などで兄弟姉妹がいない場合には、法定相続人がいないことになります。そうなると、全ての財産は最終的に国庫に帰属することとなります。つまり、国に回収されるということですね。実はこの国庫に帰属する相続財産は年々増えており、2017年には500億円以上が納入されています。
なお、法定相続人がいない場合でも、遺言を残すことで特定の人物に遺産を相続したり、特定の団体に寄付したりすることができます。自身が、おひとりさまの場合で、死後の遺産を国に納入されたくないのであれば、遺言を残しておくというのも一つの手と言えるでしょう。
死後事務委任契約とは?
さて、おひとりさまの遺産について解説しましたが、それ以外にも死後の問題はあります。それが、「手続きなどの事務」です。通常、身内が亡くなった場合、死亡届の提出や葬式の準備など、残された家族が様々な手続きを行わなくてはなりません。しかし、独り身で身内もいない人は、そのような手続きをやってくる人がいません。そこで頼りになるのが「死後事務委任契約」というものです。死後事務委任契約は、身内のいない人などを対象に死後の事務全般を代行するサービスのことです。以下のような死後の手続きを、まとめて依頼することができます。
・知人やお寺への連絡
・通夜、葬式、納骨、埋葬
・死亡届の提出や埋葬許可申請
・電気や水道、ガスの停止
・病院の入院治療費などの支払い
・自宅や介護施設の片づけ
これら一連の死後の手続きを、委託することができるのが死後事務委任契約です。弁護士などが代行してくれるところもあり、おひとりさまでも安心して生涯を全うすることができます。また、身寄りがいるケースでも、これらの流れを遺族に任せたくない場合などに死後事務委任契約をすることも可能です。
死後事務委任契約のメリット
死後事務委任契約は、自分の死後に手続きをしてくれる身内がいない場合に有用なサービスですが、他にもメリットがいくつかあります。
・家族やお世話になった人に迷惑をかけなくて済む
自分の死後、身内がいないことでこれらの手続きが正しく行われないと、お世話になった介護施設や知人に迷惑がかかる恐れがあります。自分が死んだ後のことは関係ない、とおっしゃる方もいますが、義理を通す上でも、こうした手続きを委託しておいた方が安心です。また、身内がいる場合でもこれらの手続きで残された家族に負担をかけたくない場合に、死後事務委任契約を活用するという手もあります。
・葬儀や納骨の方法を指定したいときに有用
亡くなった人が希望していた葬儀や納骨の方法と、残された家族が希望する方法が異なるケースがよくあります。このように希望が食い違うと、自分が生前希望していた方法を取ってもらうことができなくなることも珍しくありません。それを防ぐために、生前の意向を死後事務委任契約を結んでおくことによって実現するという手もあります。
・内縁の夫婦や同性カップルも活用できる
原則として、自分が死亡した場合の手続きは相続人が行う必要がありますが、内縁の夫婦や同性カップルの場合にはその点がスムーズにいかないことがあります。しかし、この死後事務委任契約を結んでおくことによって、内縁の配偶者や同性パートナーがスムーズに手続きを行うことが可能になります。同時に、遺言を残しておくことで遺産を残すこともできます。
以上、死後事務委任契約について紹介しました。自分の死後の手続きについてまで頭が回らないという人は意外と多いですが、この点についてよく考えておくことで、周りの人に迷惑をかけなくて済みます。特に、おひとりさまなど身内に頼れないケースにある人は、死後事務委任契約を検討してみてはいかがでしょうか。当ブログでは、他にも相続やお金にまつわる記事を多くあげているので、良かったら合わせてご覧になってくださいね!
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