万引きに関する考察記事です。
どうも、ファイナンシャルプランナーのシャチ公です。今回は、万引きに関する考察の記事です。万引きは小売店の死活問題として捉えられており、書店など万引きが原因で潰れるお店も出てきています。そこで今回は、なぜ万引きされるお店が潰れてしまうのか、をテーマに考察していきたいと思います。
万引きによる被害は大きい
小売店においては、年に1回以上、棚卸と言って在庫をカウントする作業があります。これによって、データと実際の在庫を比べることができ、本来あるはずの在庫が無いものを「(不明)ロス」といいます。このロスの原因は、単純な紛失やうち引きなど様々ですが、ロスの大半を占めるのが万引きです。あるべき在庫が、万引きによって盗られてしまっているという訳です。その額は年間で4000億円にも上るとされています。私の勤めていた書店でも、年間で数十万円以上はロスが出ていましたし、もっと大きなコンビニや衣料品店では数百万や数千万単位で被害が出ていることも珍しくありません。
小売店は、万引き対策に頭を抱えています。防犯カメラはもちろん、ミラーの設置や防犯タグの設置などを導入しています。本来なら、人員を配置して巡回するなどの方法も取れるのでしょうが、人件費が高騰している昨今では、余計な人員を配置することが難しくなっているのです。とはいえ、年間数百万円も被害が出ていれば、対策をしないわけにはいきません。万引きは、小売店にとって死活問題となっています。
「万引き」という呼称の問題点
万引きが減らない原因は、「万引き」という呼称の仕方に問題があるようにも思います。万引きは、れっきとした犯罪であり、罪名で言えば刑法235条の窃盗罪に該当します。窃盗罪は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に問われる行為です。それが「万引き」といういくらか柔らかい言い方で、犯罪性を薄めている気がしてなりません。なんとなく、万引きが発覚しても、お店の人に謝罪すればそれで済む、みたいに思っている人も少なくないようです。
万引き対策が厄介なのは、若者だけが万引き犯とは限らないということです。一昔前では、子供とかが万引きをするイメージでしたが、最近はそうとも言えません。万引きというと、夜のニュースや特番で「万引きGメン」の特集をやっていますね。そこに出てくるのは高齢者ばかりで、意外と若者ばかりが万引きしているのではないということが分かります。実際、私が勤めている書店でも、コミックのロスに匹敵するくらい、実用書なども万引きされていました。要するに、小売店にとっては、どの年齢層でも万引きを警戒する必要があるということです。
マンガ1冊万引きされるとどうなるか?
ところで、万引きされることの多い書店において、マンガを1冊万引きされるとどれくらいの打撃があるかご存知でしょうか? 書店というのは実に薄利な商売で、1冊マンガが売れると手元に残る利益というのはわずか2割程度です。そこから人件費やテナント代なんかを支払うので、売上に対する粗利というのはさらに圧縮されます。つまり、1冊500円のマンガを万引きされると、書店側の損失は500円となりますが、1冊売っても100円しか利益にならないため、万引きされた分を取り返すのに少なくとも5冊以上を販売しなければならないということになります。
イメージを持ちやすくするために、すごく極端な例を出すとするならば、お店の1/5の商品を万引きされてしまうと、お店の全ての商品を完売させてやっと利益が出る計算です。それくらい、書店というのはシビアな業界です。書店だけでなく、小売業というのは薄利な商売ですから、たくさん売ってやっと利益が出るというお店も多いです。そんな中、1つでも万引きされてしまうと、その何倍も売らないといけなくなるのは、かなり辛い話です。それくらい、万引きというのは店に与える影響が大きいのです。実際、力の弱い小さな小売店は、万引きが原因でお店を閉めざるを得ないというのもよく耳にします。
万引きは万引きを呼ぶ
万引きをしてしまう要因として考えられるのが「内的要因」と「外的要因」の2つです。内的要因は、万引き犯の内面からくる窃盗欲求や弱い気持ちなどで、お店側にはどうすることもできません。一方、外的要因は、お店側の販売方式の工夫や万引き対策の有無などを指します。たとえば、盗まれやすい商品を、レジから離れた位置に置いているお店と、店員に言わないと買えないお店があるとすれば、レジから離れた位置に置いてあるお店の方が万引きされる確率は上がります。また、商品整理がきちんと行われているなど綺麗に陳列されている方が万引きの抑止になるという考え方もあります。
よく、駅のトイレが例に出されます。駅のトイレは、きれいで新しいほど利用者も綺麗に使ってくれる。逆に、汚いトイレは利用者も意識が低くなり、さらに汚されやすくなる。このような環境は、利用者の行動に影響するということです。つまり、万引きされるお店というのは、万引きされやすい環境を作ってしまっている店ということにもなります。そして、そういう環境を作っているお店は、これらの要因を取り除かない限り、万引き犯を絶えず歓迎することとなってしまいます。極端な物言いになりますが、「万引きは万引きを呼ぶ」ということです。店側にも、万引き犯を呼ばない環境づくりが必要になるでしょう。
万引きをさせない社会づくり
万引きは、万引き犯本人の意識と、店側の環境づくりが大切であると書きましたが、万引き自体をさせない社会づくりも必要に思います。お店が人員を割けなくても、他のお客様が万引きをしようとしている人を止めたり指摘できたりすれば、万引きの抑止効果にもなりますし、万引きが立派な犯罪であることをもっと強調できれば、万引き件数も減っていくのではないかと。まあ、それが難しいから長い間、万引きはなくならない訳ですし、日本人の性格的な面もあるのかもしれませんが、万引きをさせない社会づくりは日本経済を守るためにも必要なことと思います。
以上、万引きに関する記事でした。万引きは、日本だけでなく海外でも問題となっているようで、もしかしたらどんなに対策しても、今のような販売形式のもとでは、する人はするものなのかもしれません。しかし、それらが小売店にとって大きな打撃となっていることは変わらぬ事実です。今後、セルフレジなどさらなる人員削減で、万引き対策もより一層注目が集まることは間違いないでしょう。当ブログでは、他にも社会問題に関する考察記事や、ファイナンシャルプランナーである私がお金にまつわる記事を多くアップしています。良かったら、合わせてご覧になってください。
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